細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】変わるから変わらないものが

なぜあわてていたのだろう

あわてていたら手に入らないものばかり

だった

ゆっくり構えても汗水流しても

私もあなたも誰も変わらなかった

変わらないことは

悪いことではなかった

変わらないから変わることを感じるので

変わるから変わらないものが尊いので

あなたの部屋に咲いた花が枯れても

あなたはそこにいたし

あなたがそこにいなくなっても

あなたは誰かと笑っているし

私がつみれを丸めている間に

夜は深まって

夜の時間の中に

私の悲しみが落ち着く間合いがあって

弟に電話したら弟は真面目に話していたし

電池が切れるまで話していたし

どんなに真面目に力を入れても

力を入れるから話が伝わらず

伝わらないからイライラして

他人を責めた

他人を責めて私は世界から孤立し

私のさみしさはより深くなる

そんなふうに幾千夜が過ぎ

私はまだ生きています

ここに生きている私は

焦っても焦らなくても

私です

私は雨の中で静かに詩を書いている

詩は私の中で羽ばたいて

誰かのために泣こうとしている

私がわざと何かをしなくても

私の周りで、私から

巣立ち羽ばたくものがある

それを祝ってやっていいじゃないか

おめでとう

あの人も見ているよ

父も母も

死んだひとも

壊れた世界もみているよ

おめでとう

ただそこで

ただ生きている

情けない顔と

笑い顔と

そこに

そこに