細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

指定廃棄物以下の汚染廃棄物も法的に管理・規制すべきではないかー前橋にいった滋賀放射能汚染木くず

 

 9月16日滋賀県は情報公開審査会の答申(その前に市民による公開請求がありました)にやっと答え

高島市に不法投棄された放射能汚染木くずが前橋市の再処理施設に搬出されていたことを公表しました。

滋賀県高島市内で放射性物質に汚染された木くずが放置された問題で、滋賀県は16日、業者が搬出した産業廃棄物処理施設の所在地は前橋市だったと明らかにした。

 県情報公開審査会が8月、搬出先の自治体が出した産廃処理施設の設置許可証などを部分公開するよう答申していた。許可証は、2013年12月に撤去を始めた業者が、非公開を条件に県へ提供した。

 部分公開された許可証の写しでは、施設は「木くずの破砕施設」となっている。業者名や詳しい所在地などは黒塗りされた。

滋賀・高島の汚染木くず、搬出先は前橋市 許可証を部分公開 : 京都新聞

 

前橋市廃棄物対策課によると、滋賀県から木くずが搬出されたとの連絡を受けたのは昨年12月ごろで、すでに別の企業に売却されていたという。「市内で野積みや投棄は確認されていない。情報収集は続けているが、現状を特定する内容は答えられない」としている。

 公開請求した大津市の市民団体代表の池田進さん(74)は「最終的に木くずがどうなっているかが分からない。さらに情報公開を求めるか検討したい」としている。

 しかし黒塗りな上に、前橋市からどの業者に行って最終的に処理されたかもわかりません。

 

市は昨年12月5日に滋賀県からの情報提供を受けて同日と今年4月23、24日の計3回にわたり業者への立ち入り検査を実施。その結果、廃棄物処理法や放射性物質汚染対処特措法などの違反はなく、4月24日に行った放射線量の測定でも、施設内で除染を必要とする値は検出されず、問題はなかったという。市は、「業者間で適正に処理されたと認識している」と話した。

 処理された木くずは破砕処理後に市外の業者に売却されたが、風評被害につながるとして市は売却先を明らかにしなかった。

前橋で処理の汚染木くず、放射線量問題なし - 産経ニュース

 9月18日には産経が、この木くずは放射性物質汚染対処特措法に違反していない数値であることを報道しています。8000㏃か0.23μ㏜毎時を下回ったということなのでしょうか。

しかし元の数字がデカすぎて安心なんかできません。

また前橋市も昨年計測して今頃明らかにするというのはどうなのか。

 そしてまた「風評被害」で情報を明らかにしません。

これでは木くずがどのように最終的に処理され、どこに売られ、何に利用されたのか。

わかりません。

 

第一に滋賀県が本当にまずいのですが、前橋市も感心はできません。

同様の記事が毎日に出ています。

 

高島の汚染木くず放置:前橋で「適正処理」 売却先は公表せず /滋賀

毎日新聞 2015年09月19日 地方版

http://mainichi.jp/area/shiga/news/20150919ddlk25040612000c.html

 

しかしこのままでは汚染の数字もいき先もわかりません。

これには前橋市の市長もおかしいと思ったのか、こんなことをいっています。

前橋市の山本龍市長は二十四日の定例会見で、民間業者同士のやりとりで処理された過程で市側に何も知らされず関与できなかった点を「法的に不整備があるのでは」と疑義を呈し、国に問題提起する考えを示した。

 市によると、不法投棄された二〇一三年時点の木くずのセシウム濃度は最大で一キロ当たり三九〇〇ベクレルで、国の責任で処理する「指定廃棄物」の基準となる八〇〇〇ベクレルを下回っていた。

 山本市長は「指定廃棄物ではないから民間の流通で良いというのでは市民の不安を払拭(ふっしょく)するに足りない。全国的な流通の仕組みの中で政府として関わりが求められるのでは」と指摘。今回の事例のような汚染された木くずなどの処理をめぐる管理・監督で、自治体も関与できる仕組みを作るべきだと主張した。

 木くずは、不法投棄した事業者が一四年二月までに自主撤去し、前橋市内の産廃中間処理業者に運び破砕され、市外業者に売却されていた。前橋市は同年十二月に滋賀県から連絡があるまで、一連のやりとりを把握していなかった。

 市は今年四月にこの施設の空間放射線量を測定。除染が必要となる国の基準値を下回っていたが、山本市長はこの日の会見で「多くの市民に不安を与えたことをおわびしたい」と陳謝した。

東京新聞:汚染木くず処理問題 前橋市長「法に不備ないか」:群馬(TOKYO Web)

 

福島原発事故で汚染された廃棄物について、8000㏃以下は指定廃棄物の基準を外れ、「放射能汚染されたただの廃棄物」となってしまっています。普通の焼却炉で燃やし、普通の処分場に埋められてしまいます。

自治体の自主的な管理や、農水省国交省が再利用する際に示している、堆肥については400㏃とか、コンクリート原料については100㏃とかそういう基準しかありません。薄めればいくらでもばらまける以上このような通知や目安が強い力になるとは思えません。

 

しかし事故以前も事故以降も、原子力施設では100㏃以上あるいは0㏃以上が「放射性廃棄物」として管理されている実態があり、多くの自治体が二重基準に違和感を示しています。

がれき広域処理も今までの基準からすれば8000㏃というとんでもない数字で、広域処理が進むことが全国の市民、全国自治体に疑問を与え、大きな議論を巻き起こしました。この問題は全く解決していません。

 

以来8000㏃以下をきちんと管理すべきだ、基準が高すぎる、情報を公開すべきだという日弁連の提言や世論があるにもかかわらず、環境省放射性物質汚染対処特措法の見直しを行っている今も見直そうとしません。

指定廃棄物の仮置き場では、おそらく8000㏃から下がっている廃棄物もあるはずです。そしてそのデータを自治体や環境省は一定知っているはずだろうと思うのですが、その管理をきちんとやろうとすると莫大な手間がかかるので、議論が進みません。

しかし仮置き場にされた土地の人々もたまったものではないはずです。

汚染が8000以上だから8000以下だから、で安全危険が判断できるのでしょうか。

 

また先日、飯館村では指定廃棄物仮置き場のフレコンが水害で大量に流されました。 南相馬市では仮置き場の土地を地権者に返すということが起きました。 指定廃棄物の処分場候補地の栃木県塩谷町宮城県加美町、千葉県千葉市などは強く設置に反対しています。 指定廃棄物処分計画は、矛盾だらけ。

今回指定廃棄物以下の汚染廃棄物についても、やっとおそらくは市民の声に従って前橋市長が異議を言いました。

民間業者同士のやりとりで処理された過程で市側に何も知らされず関与できなかった点を「法的に不整備があるのでは」と疑義

 

確かに民間産廃で指定廃棄物ではない放射能汚染廃棄物が処理されても自治体としても規制のしようがないのです。

 指定廃棄物ではないから民間の流通で良いというのでは市民の不安を払拭(ふっしょく)するに足りない。全国的な流通の仕組みの中で政府として関わりが求められるのでは」と指摘。今回の事例のような汚染された木くずなどの処理をめぐる管理・監督で、自治体も関与できる仕組みを作るべき

 確かに指定廃棄物以下については流通状況が把握されていません。これでは廃材の再利用、資材化による堆肥やコンクリート原料の二次的三次的な汚染がチェックできません。汚染は拡散されてしまいます。今回の高島市の不法投棄は元はおそらく8000ベクレルを超えていましたがそれですら、何のチェックもなく日本中を移動しました。

 

無論コストはかかるものの、産廃放射線量を測定し、公表し、自治体や行政が規制をかけられる仕組みを作るべきではないかと私は思います。