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細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】地上の野獣

                    石川和広

 

この冷たくさむい私の生に

どれだけの優しさが降り注いだことか

それでも私の生はどうして柔らかくならなかったか

 

夜空の星に通信する

この惑星の無意味 それぞれの家々の中に小さな涙と苦笑がある

溝には埃がたまり流れを失っている

多くの地方に苦役と懲役がある

むち打ちがあり老人の嘆きがあり子供の声が失われている

どこにももう次がない

 

この冷たくさむい私の生に

どれだけの慈しみが降り注いだことか

それでも慈しみを求める野獣にどうして私はなるか

野獣になり暗闇を疾駆する

あなたを追い求めて

この国はどうなってしまうかわからないから

何が正しくて正しくないかなんてわからないと

思うのだが

 

それでも正しさとか美しさを求めるのだろうあなたは

なぜなら人は目的がないとしても

美しく正しくあろうとする 

自分を支えるためであるとしても

それ自体が美しく回転し伸びやかに水面を蹴る

いつまでもいつまでも

壊れないために

今日と明日とがちぎれてしまわないために

 

遠い空に野獣が慄いている

もうこんなにも世界は壊れているから

野獣である私には行き先がない

血塗られ、まっすぐに爪をとぐのだ

 

さあ

この冷たくさむい私の地上的生に

もはや何が残されているか

考えている暇はない

崩れる大地に足をとられ

動揺する今日に

壊れていく心を打ちこんでいる