細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【最近の動向】滋賀汚染木くず、JESCO法、南相馬指定解除、甲状腺がん

滋賀県汚染木くず続報です。

以下は滋賀県による事件と対応に関する総括の報道発表です。

一級河川鴨川およびその周辺における木くず不法投棄事案の総括について


http://www.pref.shiga.lg.jp/d/haikibutsu/haikibutu_taisakusitu/20141219kikuzu_soukatu.html

というわけで12月18日滋賀県汚染木くず不法投棄事件に関する滋賀県の対応の不手際を総括すると称して、滋賀県は県庁内の記者会見室で会見を行いました。
私も会見をきかせていただきました。
しかし、
①なぜ廃棄物処理法における告発がここまで遅れたのか。それは滋賀県庁全体の危機管理に問題があるのではないか。
②善意の第三者が滋賀県高島市から撤去したといっていたが、裁判で被告自らが撤去費用を出したことが明らかになり、滋賀県の説明はおかしかったのではないか。
滋賀県からの撤去に当たり、北関東に運んだがそれはただ敷地内の建物におかれているもののまったく処理とは言えない状況である。また撤去先を「風評被害」が起きるからと伏せ続けているがおかしいのではないか。
滋賀県が不法投棄先の自治体と連携して、この放射能汚染廃棄物の投棄や拡散について解決するつもりがあるのか。本当に国に申し入れできるのか。国=環境省はそもそもこの件については全くコメントらしきものを出していないがどっちも問題ではないか。

こういう論点がまず浮かび上がってきます。
記者の質問が集中したのは③です。
どこにいったかわからないというものでそれも大変問題です。
しかし③だけが問題かというとそうではないのです。
①は裁判で「保護観察付の執行猶予」という事実上被告に厳しい判決が下ったのであり、市民が告発して滋賀県はあわてて告発したのですから滋賀県の対応の遅れは明らかです。それは裁判の結果でますます明らかな違法行為だとわかったのですから。
次に②を質問しておられた方がおりましたが記者名を名乗っておらず、どなたかわかりませんでした。しかし記者ではないような感じでした。
しかしこの「第三者」である撤去企業と被告との関係こそが滋賀県が決して語らないものです。裁判でも被告が撤去資金を出したことが明らかであり、であればこそ、被告と撤去企業との関係は極めて重要です。
そして③に関しても記者たちも質問していたようにまず場所がわからない。まともに管理できているかもわからない。ないないづくしなわけです。行政は不法投棄などを監視する責務がありますから、その行政がしっかり開示できないで、どのように不法投棄の処理プロセスの透明化ができるでしょうか。
そして次です。被告は全量5000トンの汚染木くずの処理を農水省通達による希釈によって400㏃まで薄めるというのですが、そんなことができるのか、またうすめればいいということなのか。これは問題です。
さらに裁判でも判決の中で今回は単なる「放射能拡散」であると断罪されたのですから、環境省や関連省庁は基準や管理をさらに厳格にせねばならないはずです。

                  *


次にJESCO法が昨日施行されました。

平成26年12月24日

中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の施行等について(お知らせ)

(2)中間貯蔵管理センターの設置.

   本日、中間貯蔵事業を実施するための拠点となる事業所「中間貯蔵管理センター」を福島県いわき市に開所します。.

    事業所名:中間貯蔵管理センター.

          住所:福島県いわき市平字大町7−1 平セントラルビル4階.

          電話番号0246−23−8915.

    開 所 日:平成26年12月24日.

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(3)事業計画及び定款の変更.

   JESCOの事業計画及び定款について、今般の法改正を受けた変更を行っています。詳細は、.

  JESCOホームページ(http://www.jesconet.co.jp/)で御確認下さい。.

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(4)関係する政省令の施行.

   本日、日本環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令、日本環境安全事業株式会社法施行規則の一部を改正する省令、中間貯蔵・環境安全事業株式会社の会計に関する省令が施行されました。.

  ①日本環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令.

  (平成26年政令第407号).

    国家公務員退職手当法施行令等について、「日本環境安全事業株式会社」を「中間貯蔵・環境安全事業株式会社」に改めるなど所要の規定の整備を行いました。また、環境省組織令について、中間貯蔵・環境安全事業株式会社の行う中間貯蔵業務に関する事務を水・大気環境局及び同局総務課の所掌とすることとしました。

  ②日本環境安全事業株式会社法施行規則の一部を改正する省令(平成26年環境省令第31号及び第33号).

    福島県内除去土壌等となる特定廃棄物の要件を10万Bq/kg超であること等と定めること、中間貯蔵施設の区域を定めること事業計画の記載事項について定めることその他の所要の規定の整備を行いました。

http://www.env.go.jp/press/100170.html

さっそくセンターが設置され、水大気環境局が所管し退職手当に関する規定が整備されました。また10万㏃を超える廃棄物を扱うことも明記されています。

しかし実は国は1月の搬入予定を断念しました。それは地元と折り合いがつかないからです。

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染廃棄物の保管のため福島県内に建設する中間貯蔵施設をめぐり、来年1月を目標としてきた廃棄物搬入開始を政府が断念したことについて、地元自治体や住民からは丁寧な説明を求める声が上がった。
 候補地となる大熊町の渡辺利綱町長は「最初から日程ありきではなく説明を尽くしてほしい。地権者との交渉も丁寧に進めてほしい」と話した。
 同じく候補地を抱える双葉町の伊沢史朗町長は「国から直接説明を聞いておらず、言及できない」と述べた。施設の建設受け入れを「遠くない時期」に判断するとしており、「国の判断にかかわらず、町の対応は変わらない。議会と協議して判断する」と話した。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141223_63015.html

とはいえ、大熊町はすでに自治体としては受け入れの方向です。
ただまだ調整が全部はすんでいない印象はあります。

福島県大熊町の渡辺利綱町長は15日、東京電力福島第1原発事故で発生した除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設について、町として建設を受け入れることを正式に表明した。
 渡辺町長は、会津若松市の仮役場で開いた行政区長会議で「国、県との協議で話は煮詰まった。これ以上先送りできない。町の復興と住民の生活再建のため、受け入れを認めざるを得ない」と述べた。区長からおおむね理解を得たという。町は今後、全世帯に文書で判断の経緯を説明する。
 廃棄物の搬入に関しては、輸送の安全確保に向けた安全協定の合意などの条件が整い次第、あらためて判断する考えだ
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141216_61014.html

双葉町は以下のような感じです。

<中間貯蔵>双葉町が近く受け入れ判断

 福島第1原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設計画で、候補地である福島県双葉町の伊沢史朗町長は18日の町議会本会議で、施設の受け入れを「そう遠くない時期に判断する」との考えを示した。同じく候補地の大熊町が15日に受け入れを正式表明しており、双葉町も受け入れを表明する方向で調整するとみられる。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141219_61016.html

もちろんどこかに片付けなければいけないとはいえ、除染や帰還政策の惨状を見たとき、あるいは前任者の石原前環境大臣が「最後は金目」といってしまったことからも、この計画が非常に危ういものであることは変わりありません。
鮫川村の焼却事業など、地権者に無断で、焼却炉を建てるなど環境省や地元自治体の対応は誠実さを欠くものです。また是が非でも放射能に汚染された廃棄物を燃やしてかさを減らすのは「放射能が危険ではない」「放射性廃棄物は圧縮できるから原発は続けられる」という二つのメッセージを伴うものだと私は懸念しています。

南相馬市への帰還を強いるなど非常に不可解なことも続いています。

「特定避難勧奨地点」に指定された福島県南相馬市の152世帯に対し、国は21日、住民説明会を開き、28日に指定を解除することを通告した。国は「線量が指定の基準を下回った」として10月末に解除する方針だったが、「不安だ」などと住民が強く反発、解除は一時延期されていた。

 原発事故による避難指示区域外で年間積算放射線量が20ミリシーベルトを超える恐れのある地点の世帯を指定し、子どもや妊婦を中心に注意を呼びかけた特定避難勧奨地点は、同県伊達市川内村でも計129世帯が指定されていたが、既に解除されており、28日で同地点はなくなることになった。

 この日の説明会では「測定地点以外に線量が高い場所は多い」「健康被害が出たら責任は持てるのか」など、解除延期を求める声が相次いで紛糾、終了時間を大幅に超過
http://www.asahi.com/articles/ASGDP4PTYGDPUGTB008.html

全く住民は納得していないのに不可解でなりません。

帰還と放射性廃棄物放射能の軽視はいったいのものです。

放射能の影響の軽視といえば環境省の専門家会議も不可解でした。
そしてその環境省の会議がとりまとめを出したのち新たに
甲状腺がんの子供が見つかりました。以前の検査時にはがんではなくがん化したと考えられます。継続的に健康状態を見守らなければならないことは明らかだろうと思います。

事故のあと行われた1回目の検査では、108人にがんやがんの疑いのあるという検査結果が出ていますが、福島県がつくる専門家の会議が25日午後、福島市で会合を開き、1回目の検査で「問題がない」とされた、当時6歳から17歳の男女4人について、ことし4月から始まった2回目の検査でがんの疑いが見つかったと発表しました。
この4人について、県の専門家の会議では、▽被ばく線量が大幅に低いとみられることや▽放射線量の高い特定の地域に集中して見つかったわけではないことなどから、これまでの108人の検査結果と同様に「現時点で原発事故による放射線の影響とは考えにくい」としています。
また、検査器具の性能の問題などで1回目の検査でがんの疑いを見落としていた可能性も否定できないという考えを示しました
そのうえで「症例が少なく、子どもの甲状腺がんの発生のメカニズムに分かっていない部分も多い」などとして引き続き慎重に調べることにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141225/t10014283251000.html

この記事で語られる専門家会議の見解は驚くべきものです。
被ばく線量について、多くの批判や不確かさへの指摘が出る中、勝手に低いから大丈夫と。しかし低くても被害がゼロではないというのがまず放射線に対する現代の標準的な知見のはずです。
次に「検査器具の性能の問題などで1回目の検査でがんの疑いを見落としていた可能性も否定できない」といいますが、以前は検査のし過ぎで見つかりすぎたといって今度は「検査器具が不正確だから」見つからなかったものが今度見つかったのだというのです。矛盾がはなはだしいわけです。
次に「症例が少なく、子どもの甲状腺がんの発生のメカニズムに分かっていない部分も多い」
といいますが、症例が少ないがんが見つかり続けているということを心配しているのにこれからメカニズムを調べるなどとのんきなことを述べています。
被災者の不安や心配を環境省やこの福島県の会議は聞き届けていると到底思えません。
他の疾患や心理社会的な影響に関して的確な調査と発表がされているのかについてもしっかり見守らなければなりません。