細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

安倍内閣集団的自衛権容認で裁判による違憲審査が予想される。憲法に保障される違憲審査について確認しておきたい

これから安倍内閣の集団的自衛権閣議決定に対して、様々な裁判が起きることが予想されます。
日本国憲法にはその立法や行政行為違憲であるか判断させる役割と権利を「違憲立法審査権」として与えていて、人々が具体的な法律や行政行為により不利益を被るならば、訴えをおこし裁判の過程で違憲であるか否かがあらそわれます。

三重の松阪市市長は、集団的自衛権違憲であるとして国家賠償請求を訴えようとしています。市民団体や法学者の反対も激しくまた自治体も反対の意見を多数出しています。
違憲訴訟や抗議は様々な形で盛んになるでしょう。

司法は立法や行政を監視する機能を与えられています。違憲審査権は三権分立の具現化です。
国民の代表である議員が良かれと法律を作ってもそれが人々の権利を不当に侵害しては行けません。また行政の法律の執行にあたり、市民の権利が不当に脅かされてはなりません。

行政や立法は、憲法を尊重し擁護する義務があります。
それを具現化させるためには、市民と司法の監視がなければなりません。
集団的自衛権だけでなく原発事故や放射能汚染により人格権が脅かされるという判決が福井地裁で出ました。電力は公益に巨大な影響を与える上に国家の法律や行政行為と連動しており、事実上原発違憲性を指摘したものと考えられます。

そんな違憲立法審査権は活用されていません。参議院のサイトで違憲審査権がうまく働かない理由を法律の専門家が明らかにしています。今後のため必要ですから引用します。
目から鱗が落ちます。

安倍内閣は内閣法政局に、集団的自衛権の容認をさせて与党協議、閣議決定をしました。
しかし内閣法制局憲法尊重養護義務がありこの時点から違憲性が高いのです。

憲法解釈権と憲法裁判(違憲立法審査権)、憲法裁判所制 度

憲法解釈権

内閣法制局はあくまで行政機関であり、その判断 が最終的な憲法判断になるのではなく、最高裁が 判断すべき

中村睦男 151 4 - 6

内閣法制局憲法解釈をどう採用するかは政治の 問題であり、採用しないならば、それだけの理論 武装等で対応すればよい

志方俊之 156 8 - 8

内閣が統一的な憲法解釈を示すことは、公平・公 正な行政のために必要であり、内閣法制局はその 職分を忠実に守っている

渋谷秀樹 161 5 - 14

内閣法制局憲法解釈権限の根拠は、究極的には 99条の政府の憲法遵守義務に求めることができる 渋谷秀樹 161 5 - 14

内閣法制局の有権解釈権を奪い取るために憲法裁 判所を導入すべきとの意見があるが、法制局が法 律を事前に審査し、裁判所が事後に審査すること は立憲主義にとり当然のことであり、内閣法制局 の問題と憲法裁判所設置の必要性とは無関係

永田秀樹 161 5 - 18

憲法裁判(違憲立法審査権

<定義>

憲法上裁判所に認められた、国会が制定した法律 や行政機関の命令等について、憲法に適合するか 否かを審査する権限

最高裁判所 153 3 - 1

<意義>

憲法裁判は、多数決民主主義に人権の保障という 観点から修正を加え、民主主義と基本的人権の要 請を調和する

中村睦男 151 4 - 5

違憲審査権は、三権分立制度との関係では、司法 が立法又は行政の権限行使をチェックする役割を 果たす

最高裁判所 153 3 - 1

<付随的違憲審査制>

付随的違憲審査制は、立法時点では分からない問 題に直面し、その具体的な事件のコンテクストの 中で憲法規範の意味を探り出していくところに優 れた特質がある

佐藤幸治 154 2 - 5

司法消極主義は付随的審査制の必然ではない。付 随的審査制は問題の所在を明確にするという意味 ではメリットがあり、付随的審査制を維持しつ つ、もう少し憲法問題を考える時間的余裕のある 制度改善をすれば良い結果が出るのではないか

渋谷秀樹 161 5 - 22

<現状・評価>

主要憲法判例の説明 (衆議院議員定数配分規定違憲判決、参議院議員 定数配分規定訴訟判決、苫米地事件判決、最高裁 裁判官国民審査事件判決、条例罰則規定事件判 決、警察予備隊違憲訴訟判決、自白調書有罪認定 違憲判決、強制調停違憲決定、第三者所有物没収 違憲判決、余罪量刑考慮違憲判決、偽計自白有罪 認定違憲判決、高田事件判決、尊属殺重罰規定違 憲判決、薬事法距離制限規定違憲判決、森林分割 制限規定違憲判決、愛媛玉串料訴訟違憲判決、全 逓東京中郵事件判決、都教組事件判決、全農林警 職法事件判決)

最高裁判所 153 3 3 3 3 3 3

          • -

2 3 6 7 10 11

大法廷回付件数の減少は、比較的制度的な安定期 を迎え、既にかなりの問題につき憲法判断がなさ れたからではないか

最高裁判所 153 3 - 9

違憲判断に対する消極的態度)

最高裁憲法裁判に消極的な態度をとっているこ とに憲法学者がほぼ共通して不満に思っている 中村睦男 151 4 - 2

国の統治にかかわる部分は、具体的事件性になり づらく、事件性があっても統治行為により憲法判 断を避けており、この点でも日本の違憲審査は不 十分

中村睦男 151 4 - 6

最高裁の裁判官が通常の民事、刑事の事件で忙殺 されていて、憲法判断をじっくり行う時間がない のが現状

中村睦男 151 4 - 9

現在の最高裁は、明治憲法下の大審院の機能に、 行政裁判権や違憲審査権が加わり、大量の仕事を 抱えるに至ったため、違憲審査権という大変な作 業には消極的になる傾向がある

佐藤幸治 154 2 - 5

裁判所は違憲立法審査権の行使に極めて消極的 で、立法府や行政府の裁量権を広く認めてきた が、少数者の立場が問題となる基本的人権に関し ては、法律の違憲判断も辞さない姿勢こそ必要

日弁連 村越 進 154 9 - 4

違憲判断消極主義の原因として、(1) 必要に迫られ てつくった制度ではない、(2) 憲法問題が最高裁に 係属する大量の事件に埋没してしまう、(3) 訴訟当 事者がうまく憲法問題を提示できない、(4) 最高裁 裁判官に憲法の研究者や権威が任命されていな い、(5) 法曹全体に憲法知識が不足していることな どが挙げられる

渋谷秀樹 161 5 - 14

違憲審査制が機能しない最大の原因は、憲法価値 を擁護し社会的に浸透させようとする意欲と資質 が裁判官に欠けていることにある

永田秀樹 161 5 - 17

憲法価値を擁護し社会的に浸透させようとする意 欲と資質が裁判官に欠けていることには、(1) 制度 的原因として、キャリア裁判官中心の養成・登用 システムと与党サイドになることが避けられない 内閣による任命というシステム、(2) 政治的・社会 的原因として、政権交代がないことによる人事の 停滞がある

永田秀樹 161 5 - 17

もう少し憲法教授が裁判官になっていかないと、 積極的な憲法判断は出て来ないのではないか 永田秀樹 161 5 - 23

http://www.kenpoushinsa.sangiin.go.jp/kenpou/houkokusyo/hatugen/03_10_03_01.html