細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

人権と民主主義の回復が原発事故における鍵ー京都グローバーシンポジウムに参加して

私は22日に、同志社大学国連人権理事会の福島原発事故における健康を享受する権利特別報告者アナンド・グローバーさんのシンポジウムに参加してきました。
グローバーさんは、原発事故における人権侵害を重視しています。
グローバーさんやヒューライツ大阪の白石理事長のお話では、まず、原発事故で参加の原則が守られていない、人権を守るためには被害者の視点に立つのが原則として、どのような権利が侵害され、また誰が権利を回復させる義務を負うのかが大事だといっていました。

シンポジウムが終わったあと私はグローバーさんに下手な英語で、原発事故は人権問題であるが日本の市民にはその自覚がなく政府は放射性廃棄物を全国に広げようとしている。東電に責任があるが、東電は責任をとらない。グローバーさんの報告は正しく東電の責任をとうている。といいました。
グローバーさんは、私の下手な英語をサポートするように「人権問題であることをみんなに知らせよう」「東電の責任を強調するのは大事です」といってくれました。
グローバーさんは、様々なマイノリティの支援に関わっているらしく、HIV問題の専門家でもありいわば、福祉畑の権利擁護の専門家です。
彼はベトナムやガーナなどにも国連特別報告者としてHIV問題で勧告をだし、国内法制度の変化に一定の寄与は果たしたとおっしゃっていました。
やっと国際標準の権利擁護の議論の中に正当に原発事故による被曝が位置付けられていることが確認できました。
そして日本が原発事故以降さらに大変な人権侵害状況におかれていることを痛感しました。

グローバーさんは、科学的には原爆被爆者のデータですら、ゼロ線量以上はリスクがあるという公的なデータが存在していることを強調し、政府の官僚との話し合いでもデータを紹介したことを明かしていました。
また外務省は以下の記事でも勧告を尊重する意志があるとし少し前進かなと話されていました。
グローバーさんは、国連も国際政治のパワーゲームに左右されている。私は7月で任期が終わるが、次の報告者にまともな報告をさせるには、あなたたち市民や日本の人々の世論が大事である。
もちろん原子力ロビーは巨大な国家的経済的力を持ち、まったく簡単な戦いではないがあきらめないでと私たちを励ましてくれました。

グローバーさんはあきらめないで対話をすることを何度も強調しました。
対話とは単なる話し合いではありません。繰り返し学ぶために質問をなげかけること、それを通じて、自らの無知を改め、他人にも問題に気づいてもらう。対話は相手を尊重し相手とともに変わるためにあるのだと。
私たちは、ともに社会をよくするために、ともに行動や認識をよくしていかなければなりません。批判的理性はそのためにあります。
私は、グローバーさんから良質で骨太な民主主義の理解、苦しむものとともに戦うためのエンパワメントの精神、常に開かれた変化を経験する意味を感じました。
これらは今日本社会と産業、政界に欠けているものです。

「政策決定には市民の参加が重要 グローバー氏はまず、国連人権理事会の特別報告者として、日 本政府も批准している国連の「社会権規約」第12条に定めら れている健康の権利を守るためには、「参加の権利」と「科学的証明」が重要であると強調。事故の影響を受けている被災者 やそのコミュニティが政策決定プロセスに参加することが必要 であり、情報の公開や避難するかどうかの決定も含め、当事者の参加が欠かせないと述べた。

さらに、政策を決定する時には科学的な証明に基づいたものである必要があると主張。チェルノブイリ原発事故の影響は子どもの甲状腺がんだけとされているが、公開されているデータは 限定的で、チェルノブイリ事故だけを前提にするのは間違え。 」とした上で、最初から被害を限定せず、年間1ミリシーベル ト以上の地域では包括的な健康調査を行うよう日本政府に求めた。」

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