細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

足取り

急ぎ足で
あるいは普段仕事に行くような
けだるく
真面目な足取りで
あるいは散歩みたいに
人々は整然と
世界の果ての穴へと歩いていく

あるものはテレビの話をし
あるものはテレビなんかくだらないといい
神の名前を叫び
神なんていないといい
子供に微笑みかけ

どんどん穴へと消えていくのだ

穴の向こうは危険だと
私は叫び出すが
優しそうなおじさんが
私の肩を叩く

どうせ皆死ぬんだからと

死ぬのは当たり前だ
そんなことではない
というと

子供が怖がるではないですか
と誰かが言う

子供のせいにするな
みんな怖いんだと私はなおも叫ぶ

しっかりしなさいと
私を呼ぶ声がする

私は振り返る

死んだはずの祖父や
小学校の担任のナガイ先生や
大学のヤマモト先生が
私を見つめている

みんな死んだ人だ
死んだ人が
私を励ますのだから
まだ
私は生きていて
穴に入ってはいけないと
穴に向かう人の群れに逆らって歩く

向こうにもあそこにも
群れと反対に歩く人がいる
つながろうとして
なかなかつながれない

群れはだんだん大きくなる
しかし諦めても
いくところなんてないにちがいない

あたたかい胸に血が流れている
まだあたたかいから
あたたかさを
わけあえるかもしれないし

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