細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

不法投棄とはなにか-滋賀県高島汚染チップ事件の基本構図をたしかめる

おとといはみぞれまじりのなか、滋賀県庁前で行われた高島市放射能汚染チップ事件の抗議に参加してきました。滋賀県庁の国旗は半旗になっていました。阪神大震災の発生の日だからでした。
抗議の後、環境学者の先生方や地元高島の方々とお話しすることができました。


実はその前日、滋賀県の循環社会推進室に電話をしました。
私が不可解なのは、素人目から見れば、不法投棄でありそうなものを滋賀県は、不法投棄した人間を廃棄物処理法違反で告発していないだけでなく、現在撤去しているのも、不法投棄した人間ではなく、第3者であるということです。

県に、今回の高島市の汚染チップの件を「不法投棄」と認識しているのかと質問してみました。
答えを私なりにまとめますと、
県が不法投棄罪で、不法投棄した人間を訴えたとしても
1 不法投棄事業者は、汚染チップ(樹皮=バーク)を廃棄物ではなく、「有価物」(ごみではなく価値があるもの)であると主張する懸念がある

2 不法投棄事業者は、廃棄物16条「みだりに廃棄物を捨て」たわけではなく、チップを地面に舗装工事している。これは不法投棄に当たらない可能性があるので、取り敢えず河川法で県有地を勝手に「形状変更」したので指導したと。

3 ゆえに廃棄物処理法16条の「みだり投棄」にあたるか慎重に調べていると。


この返事を聞いて驚いてしまいました。
そもそも滋賀県はこの事件を不法投棄として、まだ扱っていない可能性すらあるのです。

そして、次の日、抗議行動に参加した日に、環境学の畑先生がいらしていたので、畑先生に聞いてみましたら、「業者や行政はよくそういう言い訳を使うんです。有価物だといったのは、豊島の不法投棄もそうでした」と。

そして、12月の滋賀県の撤去の説明会に参加した方も「説明会では、産業廃棄物として処理します言ってました。おかしいですね」と。

これは変です。
廃棄物処理法での告発もせず、不法投棄事業者自らが撤去をしていない。
これでは県が犯人を庇ったまま、汚染チップをまた知らない誰かが持ち去ろうとしているように見えます。

しかしその前に私は
廃棄物処理法のことも
不法投棄のこともど素人なのです(汗)
基本的な定義の確認を皆さんとしていきたいです!



まず不法投棄とは。山梨県のホームページです。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄 物処理法」という。)第16条では、「何人も、み だりに廃棄物を捨ててはならない。」と規定し、 事業活動に伴って排出される産業廃棄物はもちろ ん、日々の生活から出る一般廃棄物であっても、 廃棄物をみだりに捨てることを禁止しています。 この規定に違反して廃棄物を捨てることを「不法 投棄」と言います。また、事業者が反復継続して 行う場合だけでなく、個人が一回だけ行った場合 も該当します。

この「みだりに」がくせ者です。

「みだりに」とは、社会通念上許 容されないことを意味します。人目に付かない道 路脇や他人の土地に廃棄物を投棄する、自分の土 地であっても穴を掘って廃棄物を埋めるといった 行為は、典型的な不法投棄です。廃棄物を埋める ことができる施設は知事等の許可が必要であり、 それ以外の場所で廃棄物を埋めることは、たとえ 自分の土地であっても、不法投棄になります。

廃棄物を処理し埋め立てなどをする場所は行政の許可のある場所しかダメです。
自分の家だからいいかといって、穴掘って有害物質や臭いがきつい物を投棄しても、周辺の生活環境である地下水や土壌を汚染するので、ダメです。

また、建物の解体業者が自ら解体した家屋の木く ず等を当該業者の管理下の土地に山積みしている ような場合は、不法投棄は廃棄物をみだりに捨て る行為が対象であるため、これらを放置している ことをもって直ちに不法投棄ということにはなり ませんが、客観的に放置(又は処分)の意思が明 らかである、あるいは周辺の生活環境に支障があ る場合は、不法投棄となります。


http://www.pref.yamanashi.jp/smartphone/kankyo-sb/fuhoutouki/gaiyou.html

木くずは先ほどいった有価物です。燃料にしたり、売ったりできます。しかしほったらかしにしたままだったり、業者が「廃棄物」として山積みしていたら、敷地内であれ「廃棄物」の置きっぱなしに当たる場合があるのです。

これでは、何を捨てても決められた場所以外に捨てたら、廃棄物処理法違反で捕まっちゃうと思うでしょ。原則的にはその通り。

しかし、不法投棄を見る場合にはいくつかの要件が過去の判例から定められています。
特に
「有価物か廃棄物か」は大切なポイントです。
なぜなら不法投棄事業者が「これはごみではない」と主張する場合があるからです。
その区別は環境省の通知で示されています。

この総合判断説という言葉は、判例や通知で用い られましたが、通知にその詳細が記載されていま す。 平成17年8月12日環廃産発第050812003号 (要 約)

1.物の性状・・・利用できる品質である、生活環境保全上の支 障が発生するおそれがない 2.排出状況・・・需要に沿った計画的なもの、排出までに適切 な保管や品質管理されている
3.通常の取扱形態・・・製品としての市場があり、廃棄物とし て通常処理されていない
4.取引価値の有無・・・逆有償にならないこと 5.占有者の意思・・・適切に利用または他人に売却する意思が あり、放置しないこと

【1.2.をクリアするために必要と思われる事】

廃棄物を保管については廃棄物処理法に定められ た保管基準あがります。これは、生活環境保全上 の支障が発生するおそれがないように廃棄物を保 管するためです。有価物は、他人に売却するだけ の品質が求められるわけですから、廃棄物の保管 基準を下回る保管をしてはいけません。

家電リサイクル法の対象商品の場合 再使用の目的に適さない粗雑な扱いの例として、 雨天時の幌無しトラックによる回収、野外保管、 乱雑な積み上げが通知にあります。(平成23年3 月17日環産廃発第110317001号)

使用済みタイヤの場合 野積みされた使用済みタイヤは、蚊、はえその他 の害虫の発生源となるなど生活環境の保全及び公 衆衛生の向上に支障を生ずるおそれがある(平成 12年07月24日衛環65号)

有価物とは何か? http://www.sanpai-sc.com/article/13357560.html

これを見ればはっきりわかりますね。

確かにチップ=樹皮は、市場価値があります。
しかし放射能汚染されたため
山積みにされ、東京電力の賠償対象にすらなっています。
総合的に不法投棄かどうか判別する必要がありますが、不法投棄でないとするのは簡単には思えないです。
またチップは長く遺棄され、水浸しになったりして、
品質も変化しているはず。
その間、10カ月風雨にさらされ、完全にほったらかしです。
有価物といえるのでしょうか?

林野庁/第1部 第II章 第3節 原子力災害からの復興(4) http://t.co/cNVSh6f2kp
「 東京電 力株式会社では、バークの廃棄物処理費用や汚染された樹 皮を保管する場所の設置に必要な費用について、一部の損 害賠償請求に応じ支払を行っている。 」

勝手に私有地や県有地に、ローラーで埋め込んで「社会通念上許され」たり「生活環境上支障」がないわけないですが。
滋賀県は許すんでしょうか。

県によると、木材チップは福島県本宮市のHとい う製材業者からでたものだった。原発周辺の樹木 は、表皮に大量の放射性物質が付着している。こ の業者は、表皮を剥ぎ、線量を下げる作業を東電 から受注していた。本来なら、放射性物質が付着 した木材は国の許可した最終処分業者によって処 分されるはずだが、どういうわけか琵琶湖畔に放 置されていた。

滋賀県鴨川河川敷にセシウム木材を不法投棄した元郵政省官僚 « Bran http://bran7.net/archives/42449

「本来なら、放射性物質が付着 した木材は国の許可した最終処分業者によって処 分されるはずだが、どういうわけか琵琶湖畔に放 置されていた。」

福島県に捨てるところがないといって、許される行為ではありませんね。
国や東京電力が杜撰だからこんなことになってるんではないでしょうか。

あとは、廃棄物として処理するお金が支払われたか否かも、有価物と廃棄物を区別するポイントです。

@ishikawakz 滋賀までお疲れ様です!廃棄物か有価かについては、出所から委託された業者に対価を支払われていたら廃棄物で、これを逃れる為に1円で販売する事もアウトです。処理費と運搬費を比較して処理が有価であっても運搬費が掛かりこれを超えた対価が支払われた時に廃棄物となります (https://twitter.com/potewo/status/424362685870788608)

Twitterでフォロワーの方に教えていただきました。
投棄のうらでどういうお金が動いてるんでしょうか。


そして、県に投棄した者があらわれたのは、住民の通報から4ヶ月!遅すぎます。
なぜ滋賀県は警察に電話をしなかったんでしょうか?
しかもこれは台風でチップが水浸しになったあとです。

8.27 木材チップの搬入・放置に関係したとの者 から高島土木事務所に電話連絡があり、木材チップに つ いて放射性物質による汚染を疑わせる発言 があったため、早期の来庁を要請した。

一級河川鴨川の河川敷およびその周辺における木材チップの無断放置および放射能濃度の検査結果について/滋賀県 http://www.pref.shiga.lg.jp/h/kako/gyousei/h25kamogawa-mokuzaichippu.html

不法投棄について、厳しい対応を求める通達です。
滋賀県環境省はよく読むべきでしょう。
というか、滋賀県に任せていると犯人も汚染チップも闇から
闇に消えていく心配大です。
撤去の工期は1月末までですから。

[PDF] 環廃産発第 1303299 号 平成 25 年3 月 29 日 各都道府県・各 ... - 環境省 https://www.env.go.jp/hourei/add/k040.pdf