細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

原発事故の、健康管理調査は怪しく、こども被災者支援法はまるで骨抜き

以下の記事をまず。

「健康調査」名称見直し検討 「人体実験」と批判絶えず

東京電力福島第1原発事故に伴う県民の健康 状態を調べる「県民健康管理調査」について、 県は2日、名称見直しを検討することを明らか にした。 原発事故当時の全県民約205万人を対象に 健康への影響を計画的に調査する目的から「健 康管理」としたが、原発事故による放射線被ば くについて長期間の大規模な調査は前例がない こともあり、県民からは「人体実験との印象が 持たれる」と批判が絶えなかった。 県は庁内で検討に入り、早ければ本年度内に も方向性を示す見通し。調査に対して県民の十 分な理解が得られるように分かりやすい名称を 探る。
(2013年10月3日 福島民友ニュース)
http://www.minyu-net.com/news/news/1003/news10.html


人体実験と思われているのはかつての原爆の健康影響を調査したABCCと同じく被災者の健康を守る目的ではなく、データを取られてるだけと被災者の方々が感じているからでしょう。
これだけの規模の被曝はないわけです。

普通の医療機関でこんなことを思われたら病院は訴えられるか潰れてしまうわけです。
国や県がやるならこんなことすら許されるのでしょうか。

ちゃんと情報を患者に全て渡し、甲状腺以外の尿や様々な検査をして、被曝影響を確かめ早期の発見と治療をして、さらに統計的なデータや議論についてオープンにしてまだまだ未解明な被曝影響について、外部の医療者に考えてもらい、被曝を防ぐ視点で組織を変えてもらいたい。名前だけの問題でないと思うわけです。

まだ全て読めていませんが、毎日新聞の日野行介記者が岩波新書からこのような本を出したことで明らかです。
ずばり『県民健康管理調査の闇』

福島原発事故 県民健康管理調査の闇 (岩波新書)

福島原発事故 県民健康管理調査の闇 (岩波新書)

福島県当局は、「この調査は県民の方たちに 安心していただくため」と繰り返す。だが、調査結果の詳細は県民には知らせない。安心した いために我が子の調査に応じた親御さんたち は、詳しい結果を知らされないことで、よけいに不安に陥れられる。僕に話しかけてこられた女性の不安は、福島県民すべての不安だと思 う。 ところが、その県民の不安をどうやってごまかすか、ということが「秘密会」で話し合われ ていたのだ。調査結果の検討会の前に、「検討会で、委員たちが各々どういう発言をするか」 というシナリオが綿密に作られていた。それをすり合わせるのが「秘密会」だった。
http://www.magazine9.jp/article/osanpo/8712/

山下俊一教授の部分だけ読みましたが、彼は百ミリシーベルトまで問題ないといっていましたが、日野記者が質問したらLNT仮説(被曝によるガン発症リスクはゼロシーベルトから線量が上がるに従い直線的に上昇するというもので、上がり方は研究機関でちがうものの、被曝がゼロでなければ必ずガンリスクはあるというもので、国際的な放射線防護や管理の標準的な考え方でもある)を支持するといっているんですね。 つまり、実は全然大丈夫じゃないのをわかってて、大丈夫だといってしまっていた。
山下俊一教授だけでなくたくさんの人が。普通は「影響がある可能性があるから気を付けて」といいますよね。


で、驚いたのはさらに福島県伊達市でガラスバッヂの集計が行われまして、一ミリシーベルト(通常の年間被曝許容限度。チェルノブイリ法ではこれ以上の汚染では移住権利が与えられる) を越えてるこどもが33パーセントもいました。
ガラスバッヂは、恐らく首にぶらさげていて、普通は原子炉や放射線管理区域で働くひとがつけています。
上半身一ヶ所の累積線量ですから、外部被曝だけです。

ガラスバッジによる累積線量計測の結果、年1ミリ〜五ミリ未満の被曝をした子どもが33.6%。
http://t.co/UOplAxLHEV
(福島県伊達市の広報PDF )

ちなみにこども被災者支援法はなんと書いてあるか。
これは二条です。
3、5、6を見てください。

被災者生活支援等施策は、被災者一人一人が 第八条第一項の支援対象地域における居住、他 の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことがで きるよう、被災者がそのいずれを選択した場合 であっても適切に支援するものでなければなら ない。
被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事 故に係る放射線による外部被ばく及び内部被ば くに伴う被災者の健康上の不安が早期に解消さ れるよう、最大限の努力がなされるものでなけ ればならない。
被災者生活支援等施策を講ずるに当たって は、被災者に対するいわれなき差別が生ずることのないよう、適切な配慮がなされなければな らない。
被災者生活支援等施策を講ずるに当たって は、子ども(胎児を含む。)が放射線による健 康への影響を受けやすいことを踏まえ、その健 康被害を未然に防止する観点から放射線量の低 減及び健康管理に万全を期することを含め、子 ども及び妊婦に対して特別の配慮がなされなけ ればならない。
被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事 故に係る放射線による影響が長期間にわたるお それがあることに鑑み、被災者の支援の必要性 が継続する間確実に実施されなければならな い。

伊達市のケースで明らかなように
こども被災者支援法はまるで守られてない。
さらに政府は法律ができてから二年近く放置。
予算ゼロ!
さらに今回政府は基本方針案出してきましたがこれがまたおかしい。

この法律は上の2に見えるように移住権利保障もあるのですが、政府がいま出した基本方針案は、まず被災者の意見を聞く「公聴会」が開かれてない、被曝影響についても総理自らオリンピック招致演説で「影響はない」といってしまっている。次に移住権利保障もない、どのくらいの汚染程度で移住や支援ができるかも決めていない、福島県内33市町村に支援対象地域を限りしかも、さらにいままでと対して変わらない支援。
さらに議事録はまた隠していた。

これに怒り心頭なのが、福島県内で支援対象地域にならない市町村や福島県外の汚染された自治体や被災者や区域外避難者です。

野田市パブリックコメントに、「年間 放射線量が1ミリシーベルトを超える「汚 染状況重点調査地域」は、全て、「支援 対象地域」に指定すべきである」という 意見を提出。鎌ヶ谷市 常総市 も同様の意 見を提出。

守谷市我孫子市 、流山市 、取手市 は、上記に加え、『法第13条「放射線に よる健康への影響に関する調査、医療の 提供等」の支援』、『健康管理対策な ど、子どもや妊婦に対して特別の配慮が された施策を推進すること』等の意見を 提出。印西市も「子どもや妊婦等に対し 特別配慮された施策」を要望。

白井市 は、『支援対象地域と準支援対象 地域による区分によらず、実効性のある 支援策が、それを必要とする全ての被災 者を対象として行われることを強く要 望』『支援施策の検討にあたっては、同 法第14条に則り、広く被災者の意見を 反映すること』等の意見を提出。

柏市 も、「健康管理並びに医療施策に関 する支援の在り方の検討にあたっては、 広く被災者の意見を反映するとともに、 その過程を透明性の高いものにするこ と」「支援の在り方の検討にあたって は、被災者の放射線による被ばくに伴う 健康不安が早期に解消されるよう、今回 支援対象地域として示された市町村以外 の地域であっても特に子ども及び妊婦に 特別の配慮がされた施策となるよう努め ること」という意見を提出していま す。松戸市 も同様の意見を提出していま す。

栃木県知事 は、安倍首相、根本復興大臣 に対して、以下の緊急要望を行いまし た。 県境にとらわれることなく「支援対象地 域」を指定するとともに、福島県と同等 の支援施策を講じること 国においては、地域住民の意向を十分に 反映し、真に被災者が必要とする支援施 策を講じること 支援施策の実施に当たっては、国が責任 をもって必要な財政措置を講じること。

栃木県議会 も以下の意見書を可決してい ます。 「地域指定の基準線量等が不明確で あり、本県内においては、線量の高 い地域が存在しており、支援の必要 性は基本方針案に示された支援対象 地域と同様である。よって、国にお いては、指定基準を明らかにすると 共に、本県を含む支援対象地域の追 加について、すみやかに行われるよ う強く要望する。」

那須塩原市 を含む栃木県内の汚染状況重 点調査地域の市町長は、法律の支援対象 地域に指定するよう復興庁に対し、要望 を提出しています。

那須塩原市議会も9月25日、意見書を可決 提出しました。

宮城県丸森町議会は9月17日、「支援対象 地域として本町を指定し、国による支援 施策を実施されるよう強く求める」とい う要望を含む意見書を全会一致で可決している。
http://app.f.m-cocolog.jp/t/typecast/1570923/1582644/90937182

無茶苦茶ですね。
みなさん福島だけの問題と思わず
全国の方々が声をあげるべきと思います。

実は国連人権理事会はすでに日本政府にたいし、原発事故対策、被災者支援について厳しい勧告を出しています。
特に被災者支援法について関わる部分を抜き出します。

賠償や生活支援について 81. In relation to compensation and relief, the Special Rapporteur urges the Government to implement the following recommendations: 補償や救済措置について、日本政府は、以下の勧告に従うよう 強く求める

(a) Formulate, with the participation of the affected communities, the implementing framework under the Victims Protection Law; 原発事故の影響を受けた住民の参加を得て、「子ども被災者支 援法」について、基本方針を策定すること。

(b) Include cost of reconstruction and restoration of lives within the relief package; 支援(救済)策には、復興と人々の生活再建のためのコストを 含めること

(c) Provide free health check-ups and treatment that may be required for health effects from the nuclear accident and radiation exposure; 原発事故と被曝の影響により生じた可能性のある健康影響につ いて、無料の健康診断と治療を提供すること

(d) Ensure that compensation claims by affected persons against TEPCO are settled without further delay; 東京電力に対する損害賠償請求が、遅滞なく解決するよう保証 すること

住民参加について 82. The Special Rapporteur urges the Government to ensure effective community participation, especially participation of vulnerable groups, in all aspects of the decision-making processes related to nuclear energy policy and the nuclear regulatory framework, including decisions regarding nuclear power plant operations, evacuation zones, radiation limits, health monitoring and compensation amounts. 原発の稼働、避難地域の指定、放射線量限界、健康調査、補償 を含む原子力エネルギー政策と原子力規制の枠組みら関するす べての側面の意思決定プロセスに、住民参加、特に脆弱な立場 のグループが参加するよう、日本政府に強く求める。 (OurPlanetTV仮訳 2013年5月28日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1589