細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

「巨費をかけてがれきを処理するよりもっと有意義な支援をすべきだ」-大阪市ガレキ本格受け入れ前の説明会


20130117 朝日新聞朝刊地方面 災害がれき説明会の記事より引用

参加者からは「人体への影響はすぐにはわからない」 「巨費をかけてがれきを処理するよりもっと有意義な支援をすべきだ」といった意見が相次いだ。

 ※これは私が見た説明会の所管であり、正確な書き起こしではありません。詳しくはIWJや大阪市の中継動画をご覧になってください。
 警察の物々しい警備の中ではじめられた説明会でしたが、混乱もなく、みなさん正論を述べておられました。
 地元此花区民の年輩の方々は「なぜ此花で焼くのか答えてください。本焼却前の説明会なのに橋下市長が来ていない。此花区がバカにされている」「瓦礫には遺体の血肉も含まれているはず。それをよそで焼くのは不謹慎では」「アスベストは今すぐ障害が出ない」「(此花区などで)アンケートをとってほしい。住民の意思を確認してほしい。たぶん反対でできなくなると思う」「みなさん賢そうに正しそうにしゃべっているが嘘だと顔に書いてある」などの意見を述べていたのが印象に残りました。人生の先輩の言葉は重いです。
 アトピーやアレルギーをお持ちの方は「試験焼却時も調子が悪かった。環境局に電話したがちゃんと相談に乗ってくれなかった。そういう相談に乗る仕組みもないのに始めることは考えられない」といっていました。
 まったくそのとおりです。
 大阪市環境基本条例http://www.hiraoka.rose.ne.jp/A1/ocevkihonjz.htm

第20条(市民等の意見の反映)

 本市は、環境の保全及び創造に関する施策について、市民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。


第21条(情報の提供)

 本市は、市民等の環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、環境の保全及び創造に関する情報を適切に提供するよう努めるものとする。


第22条(公害等に係る苦情の処理)

 本市は、公害その他環境の保全上の支障を及ぼす行為に係る苦情について、他の行政機関と協力して、迅速かつ適正な処理を図るよう努めるものとする。

第23条(公害健康被害の救済)

 本市は、公害に係る健康被害の救済を図るため必要な措置を講ずるものとする。

全く市民の声や相談に応じていません。それを信用しろと言われても無理ですね。

 あとは、もともと自地域内で処理できない瓦礫をやるということで、そのガレキが減っている。岩手県野田村の瓦礫を引き受けた埼玉は1万トンのうち1000トンで瓦礫が無くなったことや、群馬県桐生市では大阪と同じ宮古市瓦礫を引き受けているが、年内に8100トンの予定が半分しか受け入れられていない、岩手県のがれき総量はどうなっているのか見直してほしい。という質問もありました。
 環境省の坂口氏は「野田村の瓦礫は予定より早くなくなったということです」と答えましたが宮古瓦礫については明快な答弁をしませんでした。
 また大阪府市の予算は総額16億で、そのうち8億が運搬費。1000キロも運び、一回800トンだと大変な手間になるというおかしな事態になっているが、どうなのか、それよりそのお金を被災者生活支援などに有効に使ってほしいというと質問に
 環境省の坂口氏は「仮設焼却炉を立てるお金よりは運搬のほうが安い」と述べました。しかし宮城には仮設焼却炉が何十基も立っており、岩手にも焼却炉や最終処分場があります。大阪より面積が広いし処分場残余量は大阪なんかわずかです。現地では津波震災公園や防潮林構想もありこれも疑問です。
 また橋下市長が「此花区民の心理的負担に応じるためにメガソーラーの収益をあてるといったがどういうことか。露骨な利権誘導ではないか」という指摘がありましたが、メガソーラーは前から計画がありという答弁に留まりました。カジノ構想もあり、非常に不可解なものです。

 次に当たった人が、「先の質問者の必要性や総量の質問に答えていない」と抗議しましたがあまりはかばかしい答弁はありませんでした。
 さらにその方は「受入れ瓦礫から総繊維が1.8本検出され、精密検査に回している途中に瓦礫を試験焼却した。結果はアスベストはゼロだったが、手順がおかしすぎる。まず精密検査の結果を待ってすべきだった。もしアスベストが含まれていたらどうするつもりだった」という質問や「試験焼却の前に本格受け入れの契約をしていた。試験焼却の結果を見てから契約するという基本的な手順すら踏まれていない」と指摘しました。
 いまだに環境省の災害廃棄物安全評価検討会の議事録がすべて公開されていない問題については環境省坂口氏は「不徳の致すところです」と答えながらも「そもそも公開していない回の議事録自体が作成されていませんでした」といいました。議事録が一部ない会議で保障された政府の災害廃棄物処理の安全性って一体なんなんでしょうか??そんなので、市民はおろか行政や専門家はどうやって安全と思ったんでしょうか。大阪府の災害廃棄物の審議会の先生方は恥ずかしくないのでしょうか。ただ国に安全のお墨付きをもらったという態度でその国も、情報を公開する気がないのです。
 こんなの処理するしない以前の話。国会で激しく追及され、特措法自体をまともにしていく以外にありませんが、インチキ除染で黙りこくってしまう石原環境大臣がどこまでそれができるのか。橋下市長は驚くべきことに全国政党の代表代行ですが、国に質問しないのですね。へー(棒読み)

 そのほかPM2・5についても誠意のある答弁はなく、「焼却炉起源がすべてではないとしてもきちんと排出源を特定すべきだ」と市民に指摘されていました。

 残念だったのは放射能汚染対処特措法の指摘がなかったことですが、多くの参加者は、放射能がいくらかでも含まれていたらそれはこれまで焼いたことがなかったものであり、たとえ持ってくる瓦礫があまり汚染されていないとしても持ってくるのに対して根本的な疑問を抱えていました。それはある参加者が言っていたように、放射能を焼けるような国家の法体系にしてしまったことを許してしまえば、未来の人々、生き物の命にかかわるということです。
 また最後の質問者は会場に大阪市当局が勝手に防犯カメラと称して、市民の顔を写し取っていることに抗議していました。これは市民に対する肖像権の侵害でひどいものだと思います。
 
 ともあれ短期的には
1・岩手の瓦礫はどこにどれくらいあり、それは全国広域処理をすべきなのか正直に環境省岩手県は報告すること・報告してこれまでの混乱について真摯な反省をすること
2・大阪府や市の誠意のない、事実や住民のまっとうな疑問に答えない姿勢で強行することは到底許されず一つ一つの論点が解消されないうちはそれを行わないこと
3・此花区民への誠意ある対応と市外や対岸の兵庫県の方々への対応を行うこと

これらが必要と思いました。
私としては此花区民をはじめとする大阪市民の勇気に少し励まされ、行政の誠意のない答弁に、あるいは上の命令の矛盾をもはやつくろえない答弁に胸がいたむきもちでした。