細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

瓦礫広域処理で大切なこと・心配なこと・考えてほしいこと

皆さん、環境省や広域処理推進自治体は「被災地との絆」を盾に推進しています。しかし本当に被災地の状況や考えを知り、被災者への有効な支援をしようとしているのか不可解でなりません。
A・環境省の言うようにバグフィルターで放射能がとれるという話を信じるなら、すでに現地での処理能力の活用で処理ができるという指摘がある。

環境省がバグフィルターがそんなに安全だというなら、東北の既存施設で処理できるというデータはいくつもあります。もう破綻しているのです。ガレキ広域処理は。

がれき広域処施策の課題と総括
早稲田大学理工学部特別講義概要〜
池田こみち
http://eritokyo.jp/independent/ikeda-col1236...html

岩手県宮城県とも被災した沿岸市町村の既存焼却炉は活用が難しいことは理解できるが、岩手県には18施設35炉、宮城県には18施設37炉もの既存炉(基礎自治体が管理する一般廃棄物焼却施設)があり、ほぼ全炉にバグフィルターも装着されている。また、日量50トン以上の規模を持つ炉も多い。それにもかかわらず、県内既設炉の活用が進まないのは何故なのだろうか。

 遠く離れた北九州市や東京都に運び、その地域の一般廃棄物に10%ずつ瓦礫を混入して焼却するより、早い段階から近くの既存炉に協力をもとめ少しずつ処理していけば運送費の節約にもなり、より効率的に処理が可能となるはずである。その場合でも、地元の既設焼却施設には国からの補助金(処理料等)が支給されることになる。

当たり前のことです。現地にすぐお金を落とすには現地処理です。現地処理を望まない被災県知事の行動には謎が多く、宮城県では県議会で知事は激しく追及されています。

自分たちの不作為や不行き届きをそのままに、依然として「広域処理が必要である」と広告代理店を使ってキャンペーンを続けることで瓦礫の処理が進むはずもない。先に述べたように「瓦礫の広域処理」政策は完全に行き詰まり破綻していることは明らかである。ゼネコンへの一括発注の予算と広域処理のための予算がどのように使われているか国民に分かるように示すべきである。

 今更ではあるが、環境省は闇雲に全国の自治体に輸送して処理させることを中断し、すでに1兆円以上の予算を投じて行われている処理事業の効率化を徹底的に図る必要がある。そのためには、国会議員がその本来の役割として、巨額の国家予算を投じて進めている事業を監視することが重要ではないか。

 瓦礫の処理に関してゼネコン利権や自治体利権が見え隠れしている。瓦礫の受け入れのためにはまず6億円の調査費などが必要であるとした愛知県は、国が必要がないと判断したため最終的には中止となったが、受け入れのために巨額の費用を必要とする広域処理や自らの施設の整備や事務費にも充当できる補助金を目当てとしているかのような受け入れは到底被災地支援とは言えない。

普段税金を無駄遣いするなと怒ってばかりの皆様は、環境省原子力事故被災地でもある東北で、ガレキや除染に巨額の予算がつぎこまれその使用実績や成果が不明確であり、それが本当に被災者支援になっているのか疑問だということをなぜ気にされないのでしょうか。
しかも官僚の税金の無駄遣いを一掃すると登場した民主党政権が、瓦礫を推進し消費増税、復興増税しまくり、東電公的資金注入しまくっています。
それに対して自民党をはじめとした野党は有効な批判をしていません。

ゼネコンに金がつぎ込まれて被災者の救援実態にあわない状況が起きるというのは、神戸でも起きたことで、神戸ではアスベストの被害もありました。瓦礫は慎重に片付けましょう。


―がれきの広域化を巡る情況―
宮城県に続き岩手県も実質崩壊。
          2012年9月27日 環境ジャーナリスト 青木泰
http://gomigoshi.at.webry.info/201210/article_2.html

<木屑の行方は?>
* 木屑は安全で質の良いものならば、ボードやチップ材に使用され、有価物としての市場もある。実際実際視察や岩手県への問い合わせや取材の報告として木屑がないという情報が多い。
* 表1で見ても、富山県に当初持ってくるといっていた山田町の木屑5万トンは、工程表の計画では、「0」になり、富山県には、可燃物が、1.08万トン持ってくるという予定に変わっている。
* 山田町への富山県議らによる視察団は、木屑がほとんどなかったと報告。
* 静岡県の島田市でのコンテナへの石ころ混入事件。
* 木屑が有価物として取引されていれば、現地の状況の中で「持ち去り」はないのか?
*木屑の材料となる柱材・角材が、30万トンあったとしても、それは、現状どのように処理され、また処理されつつあるか検証が必要だ。実際環境省の今回の「工程表」で示されている広域化が必要な木屑量は、現状で合計4万500トンであり、岩手県内で25万トンは処理する方針に変わっている。
ではそれがなぜ30万トンにならないのか?
<可燃物の行方は?>
* 可燃物については、可燃物以外のものも混合された物、「可燃系の混合物」が66万トンである。
* この中に実際の可燃物がどれだけ含まれているのかは、「岩手詳細計画・改訂版」(P49)の岩手県の可燃物処理フローでも可燃物の合計は、54万4500トンとなっている。
* この(一部木屑を含む)可燃物は、先に見た?既設の清掃工場の焼却炉、?仮設焼却炉?セメント工場で焼却することになるが、これらの処理能力は、同資料のP31に記載がある。まとめてみると
? 225トン/日
? 195トン/日
? 770トン/日
合計で1190トン/日なっている。
*年間330日稼動で計算すると、年間約40万トン処理でき、2年間で80万トン処理できる計算になる。
*汚れた木屑は、多少焼却することになっても十分処理できる量となる。
以上現在公表されている基本データや岩手県内での処理能力から言えば、環境省が進める全国の市町村の清掃工場を使った広域化提案は、必要ないと推論することができる。また被災県内での今後の処理として、森の防潮堤などの埋め込み資材として使ったほうがよりよい活用方法になる。

この9月段階よりガレキはさらに減っているでしょうから、単純に現地処理は可能です。実際先日のBS TBSでも岩手はガレキより津波堆積物が多く、そのコンクリート化なども決まっているようです。

さらに宮城県石巻ではガレキ自体が見込み量から100万トンもいきなり減っているということも明らかになっています。

それにしても、宮城県と鹿島JVとの契約は、昨年の9月であり、115万トンあった筈の木屑が、5万トンしかなかったことを発表したのは、1年経過した今年9月である。その間木屑の処理は、行なわれていた訳でなぜ気が付かなかったのか?

 プロポーザル審査にあたっての鹿島の技術提案書によれば、昨年9月の契約後鹿島JVは、10月から仕事に取り掛かることになっていて、今年3月までの間に、木屑は15万6千トン処理することになっていた。

 それが全体でも4万トンしかなかったのなら、少なくとも、今年の3月には、木屑がないことが分かっていたはずだ。しかしそのようなことは何ら発表されていない。

 それどころかその時期、国や環境省は、全国の自治体、都道府県や市町村に対して広域化の受け入れに協力するように呼び掛けていた。

 野田総理は、閣副第168号で都道府県知事に対して
「現地では、全力を挙げて再生利用や仮設焼却炉の設置による処理を進めていますが、それでも…処理能力が大幅に不足しています。」
被災団体以外の地方公共団体に対する広域的な協力の要請を行う」
―見えてきたがれき広域化の違法構造- 環境ジャーナリスト 青木泰|あんくら島田のブログ

これは小さな取るに足りない問題でしょうか?こんなことで瓦礫処理が国や企業によって「きちんと行われている」といえるのでしょうか。この政策全体の信頼にかかわらないでしょうか。

B・燃やさない場合の瓦礫処理―その心情と論理

「がれき」という発想からの転換を 処理方法で全国初の取り組み【岩手・大槌発】
2012/6/ 5 15:33
http://www.j-cast.com/2012/06/05134539.html

「現場から法律を変えるという意気込みで取り組みたい」―3日、大槌町中央公民館で開かれたシンポジウム「大槌町の復興を考える」(岩手まちづくりネットワーク主催)で碇川豊町長が約250人の参加者を前に「鎮魂の森公園」事業の実現に向けての決意を表明した。木材や土砂などの瓦礫(がれき)で盛土した土地に防潮林を整備するもので、瓦礫処理の方法としては全国で初めての取り組みになる。

同町が共催し、岩手日報社、遠野まごころネット、いわてゆいっこ花巻などが後援したシンポジウムには発題者として、室崎益輝・日本災害復興学会長(関西学院大教授)、山形孝夫・元宮城学院女子大学長(宗教人類学)、碇川町長の3人が出席。竹沢尚一郎・国立民族学博物館教授がコーディネーターを務めた。また、花巻に避難している被災者約15人も参加、故郷の復興の行く末に耳を傾けた。

この中で室崎さんは「巨大災害はその時代や社会が持つ矛盾を前倒しする形で顕在化させる。真の復興は世直しなどを伴うの『改革復興』でなければならない」と話し、山形さんは「瓦礫という発想を転換しなければならない。それは失われた街の肖像であり、家族の形見であり、死者たちの生きた証しでもある」とし、大槌町が進めようとしている「鎮魂の森公園」事業の意義を強調した。

これを受けて、碇川町長は8日に開会する町議会に「基金設置条例」を提案し、全国的に寄付金を募って事業を進める考えを明らかにした。目標額は約10億円で用地交渉が合意に達すれば、平成25年秋にも着工したいという意向を示した。この構想は震災の記憶と教訓を後世に伝え残すだけではなく、防潮林を整備することによって津波の力を軽減させることも期待される。

しかし、その一方で瓦礫の中に含まれている可能性のある有害物質の処理など法的にクリアしなければならない問題も立ちはだかる。「全国の賛同者が復興に関わる形で東日本大震災の記憶の風化を防ぎたい。法律が妨害するなら、その法律を変えれば良い。鎮魂の森公園を死者と生者がともに生きる場として永遠に残したい」と碇川町長は不退転の決意を示した。

この山形孝夫先生は、宗教学の泰斗であり、震災瓦礫を別の視点で見ています。こういう方が瓦礫を家庭ごみと燃やして全国で燃やすということをどうお感じになるでしょう。また碇川町長のお気持ちをどう考えますか?
科学的合理性で安全危険を言う前に、宗教的心情的な部分も考えましょう。

東京新聞の社説に宮城県気仙沼市で計画されているコンクリート製巨大防潮堤に対する問題提起が掲載されました。
人工構造物に頼らない「減災」の視点に基づいた防災計画の在り方が求められます。
広葉樹を活かした「いのちを守る森の防潮堤」計画こそ、この問題にひとつの解決策を示すものではないでしょうか。
記事を転載します。
三陸の防潮堤 生態系を守る視点も 9/5 | 一般社団法人 森の防潮堤協会

そうなんです。もちろん瓦礫の中の有害物質濃度には注意しなければならないものの、人工的な巨大防潮堤よりも、ガレキや自然林活用による防潮林のほうがよいという提案もあります。

専門家の提言も人口の巨大防潮堤への懸念を伝えています。

しかし現在、防潮堤の工事は、このような負の側面の検討や評価が不十分なままに進められています。実際には、津波被害の防止や軽減という面のみから計画され、かつてよりも高く強固な堤防が建設されている場所もあります。私たちは、これからの堤防建設では、生物多様性と健全な生態系を保持するための様々な工夫をすることによって、人と自然の豊かな関係を後世に残せることを希望しています。
日本生態学会防潮堤建設にあたってのお願い


現地の様子については富山県議会議員も参加した
山田町慰霊・がれき合同調査団報告書
http://minnanotakaoka.com/20120919nomore-toyama.pdf

これは大変優れたレポートです。

さらに東北には大阪や北九州より処分場余力がでかいという指摘もあります。
【緊急投稿】各県一般廃棄物最終処分場の残余量

しかし、そもそも一般廃棄物(不燃物)最終処分場の残余量は、以下資料の通り岩手県が約130万トン、宮城県に至っては約573万トンもあることを、皆さんご存じなんだろうか。

http://azarashi.exblog.jp/16778673/

このあざらしサラダさんのブログは優れた広域処理の資料が置いておりますのでご活用ください。

さらに阪神大震災でも可燃物の埋め立てはされているという指摘が新潟県からされています。

国は、被災地の災害廃棄物処理を全体的に見通しつつ、被災地域間の災害廃棄物処理の進捗の違いを調整して、できるだけ域内処理できるよう調整すべきと考えるが、現在どのような調整を行っているか。また、そうした調整を行っていない場合は、その理由を示されたい。
(6)阪神淡路大震災においては、仮設焼却炉は発災後約3か月後には設置され始めていたが、今回仮設焼却炉の大半の設置が約1年後以降と著しく遅れているのはなぜか。
(7)阪神淡路大震災では、兵庫県内において、可燃物の23%程度が埋立処理がされたが、なぜ、放射性物質の濃縮の危険がある東日本大震災の可燃物の埋立処理を行わないのか。
(8)このように、広域処理の必要性が明確でない中では、むしろ広域処理により生じる多額の国家予算を、被災地支援に有効利用すべきではないか。
新潟県:環境大臣に対し、東日本大震災により生じた災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関する再質問を行います。

やはり税金の無駄であり、被災地からそんなに必死に瓦礫を持っていく合理的・心情的両者からの十分な根拠があるように見えないのですが・・

C・税金の適切な使い道かどうか。

(8)このように、広域処理の必要性が明確でない中では、むしろ広域処理により生じる多額の国家予算を、被災地支援に有効利用すべきではないか。
(例)岩手県のホームページによれば宮古地区広域行政組合の処理単価が1トン当たり16,300円なのに対し、財団法人東京都環境整備公社の広域処理単価(運搬費含む)は1トン当たり59,000円となっている。広域処理引受量162万トンで差額を算出すると、約700億円となる。)
新潟県:環境大臣に対し、東日本大震災により生じた災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関する再質問を行います。

新潟県知事がなぜこういう指摘ができるかというと週刊文春で明らかにされているように、彼は中越沖地震の時に、神奈川県に瓦礫処理の支援を打診されて、部下に計算させたところ、運送費もろもろの費用だけで莫大なお金がかかるというのです。しかしその時は放射能の心配は全くなかったので、友好として瓦礫を処理してもらったということです。

しかし立ち止まって考えてみましょう。新潟と神奈川より、岩手と新潟、岩手と富山、岩手と福井、岩手と大阪、宮城と北九州、いずれも同じくらい遠いかそれ以上の遠距離です。もはや友好関係としてすら逸脱しています。
しかも今回は放射能の問題があります。よく放射能の数値だけみて安全かどうかを議論する向きがありますが、それは間違いです。従来の法制度では、わずかでも放射能の付いたゴミを焼却したり、その灰を埋め立てたりすることはできませんでした。それをいきなり変えられたのに不信感を持たないのはなぜでしょう。変えられた理由が絆なのに、瓦礫の量やコスト面から考えても適正な被災地支援になりえておらず、被災地の議員からも厳しい指摘を受けているのはなぜでしょう。

それはもちろんどうしても理解ができないおかしさがたくさんあるからです。
さらに被災県の議会でも異常なコスト感覚について指摘されています。

さらに63%の減量に対し、契約額は23%しか減額されていない事に関して、すでに石巻市など県内処理が可能とされているのに「処理先不明」として記載されている「可燃物約43万トン」の輸送費が北九州市の約5万円より高い「6万円」に設定され、積算すれば実に250億円以上の「架空経費」が「今後のリスク対応金」として計上されているなど、まさに『どんぶり変更予算』である事。さらに北九州市等への広域処理の為に、新たな選別費用として9億3000万円が計上されている事が判明。福岡県内の処理費を含めれば、北九州市のトン当たり処理費・76,544円は、10万円を超える事は明らかであることなどを一つ一つ指摘し答弁を求めました。

石巻ブロックでは瓦礫総量が63%減っており広域処理の必要はありません。しかも量は減っているのにそれに見合うゼネコンとの契約額の変更になっていません。しかも、北九州への広域処理のために多額の運送費、処理費用が計上されていることが指摘されています。遠いから合理性がない上に見積もりに色がついている。「こんなことが民間で考えられますか(某大阪市長の得意のセリフです)」

石巻ブロックで瓦礫処理をしているのは某ゼネコンですがこれは北九州へも大阪市へも瓦礫を搬出しています。

C・リスクの話

リスクの話は焼却炉の話を見なければなりません。
しかしこの話が分からない人が多いようなので詳しくは山本節子さんの記事を見てください。ごみ焼却炉自体が完全に公害を防ぎきれていないというデータや実例がでてきます。放射能だってなんだって燃やさなければ微粒子にならないわけですから、諸外国はなるべく燃やさないか、分解しても害が少ない素材を製品に使う方向に転換しています。
日本が産業社会の神話に染まりいかに考え方が汚染者寄りになっているかわかるはずです。

さて、この研究では、これらの施設と、その周辺の住民たちの健康被害をていねいに追っていくのですが、その結果、焼却炉は肺、胸膜、胆嚢の腫瘍(男性)、胃の腫瘍(女性)に関連があることが発見されています。

「工業活動によるリスクを分層化すると、1焼却炉(全人口に対し)、2金属スクラップ施設(男性)、6廃浴槽処理施設(男性)、と「複合有害物質の処理施設」(男女とも)がある町において、統計的に高い有意性のあるリスクがあることがわかった」。
“Stratifying the risk by industrial activity, high statistically significant excess risks were detected in towns lying near “Incinerators” (total population), “Installations for the recycling of scrap metal and ELVs”, “Installations for the regeneration of spent baths” (men), and various installations of “Multiple pollutant categories” (men and women).”

「結論として、男性も女性も、同じように、焼却炉や有害廃棄物の処理施設の近くに住む人々は、あらゆるガンで死ぬリスクが、統計的に相当高くなる、という仮定を支持するものとなった・・・」原文には細かいがん死のリストや、焼却炉・リサイクル施設の位置などが示されています。国をあげてのごみを燃やす社会の日本では、学者は決してこういう研究はしませんが、こういう学術論文を通じて、焼却炉の危険性はみなわかっているのです。ただでさえ危険な焼却炉でがれきを燃やすと、がん死の危険性は数十倍に高まるはず。だって、一般廃棄物には、普通、カドミウムヒ素などといった有害物質は含まれていないので。2012.12.12

焼却炉と「がん死」の関係が証明された | WONDERFUL WORLD

これは原発なんですが、原発は排気量も大きい代わりに、焼却炉より優れたフィルターが設置されており、このデータは非常に気になります。放射性微粒子が、周辺の放射線量を大幅に上げることなく、放射線に敏感な子供の体を傷つけている可能性が考えられます。他の疫学的な可能性も否定できませんが、ドイツやイギリスでも同様のデータがあり日本はなぜこういう調査をしたうえでリスクの話をしないのか理解に苦しみますし、放射性物質に汚染されたものを焼却する場合に発生するリスクについて、こういうデータを参照しておらずさらに議事録が出てきていないことも気になります。

反論できない危険信号が発せられた。フランスにある原発の5キロ圏内に住む子どもたちは、通常の2倍の割合で白血病にかかる、という指摘だ。フランス国立保健医学研究所(INSERM)のジャクリーヌ・クラヴェル氏が率いるフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の科学者研究チームが『国際がんジャーナル』(International Journal of Cancer)に発表した。これは過去にイギリスのセラフィールド原発スコットランドのドーンレイ原発、ドイツのクルーメル原発において実施された調査で、原発の近辺に住む子どもたちに通常より高い率で白血病が発生することが証明されたのに続く調査結果である(注)。

ラヴェル氏の研究チームは、2002年から2007年までの期間における小児血液疾患についての国家記録をもとに、白血病にかかった15歳以下の子ども2753人と、同様の社会環境で生活する同年代の子どもたち総数3万人を比較する統計学的調査を実施した。また、フランス国内の19箇所の原子力発電所について、その5キロ圏内に住む子どもたちと一般の子どもたちにおける白血病の発生率の比較を行った。これによれば、同原発から5キロ圏内に住む15歳以下の子どもたちは他地域の子どもたちに比べ白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高くなっている。

フランス原子力安全庁(ASN)は昨年11月、原発近辺に住む子どもたちにみられる白血病の増加について、複数の研究を比較した結果、統計上の関連性は薄く増加を断定できないとの見解を発表していた。しかし今回の調査結果はこの結論をくつがえすものだ(注:今回の調査を実施した科学者が所属するIRSNはASNの下部機関)。

今回クラヴェル氏が発表した調査結果については、使用されている手法の正確性について、著名な統計学者たちが高い評価を行っている。科学技術を所管する国立工芸院のウィリアム・ダブ教授は、「(今回の調査は)対象人口の規模が大きく、かつ公式記録データの99%以上を徹底的に分析して抽出した質の高いデータを用いていることから、保健医療分野での道しるべとも言える価値の高い調査結果だ。最も注目するに値する非常に重要な調査であり、ドイツで行われた他の調査結果とも符合している」と述べている。
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/5112-bb91.html

第一条  この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故(以下「東京電力原子力事故」という。)により放出された放射性物質が広く拡散していること、当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと等のため、一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、又は居住していた者及び政府による避難に係る指示により避難を余儀なくされている者並びにこれらの者に準ずる者(以下「被災者」という。)が、健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられており、その支援の必要性が生じていること及び当該支援に関し特に子どもへの配慮が求められていることに鑑み、子どもに特に配慮して行う被災者の生活支援等に関する施策(以下「被災者生活支援等施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、被災者の生活を守り支えるための被災者生活支援等施策を推進し、もって被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的とする。
東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律

すでにこの法律は両院で可決されています。この法律は低線量での放射線被害を強く懸念した内容になっており、もちろん宮城岩手も例外ではありません。岩手の各地には汚染牧草の処分に困っている自治体もございます。環境省はそういう意味では広域処理でとても罪なことをしていることになります。

みなさんこの事故で痛感しているように気象条件や地形により不均質な汚染が広がっています。そういうことへの警戒なしに処理していいものではありません。
それは現地の方の安全も脅かすものです。

また安全なら運んでもいいという議論に対しては、安全だが税金の無駄遣いであり貴重な復興予算が被災者の特に生活や放射線対策に使われないことは非常に嘆かわしいことではないかといっておきましょう。

つまり私は瓦礫を安易に焼却してはならないという立場に立ちます。これは放射性物質ぼんぼん燃やされていなかったので、予防的・経験的にやらないほうがいい、しっかり管理したほうがいいということと、またもし、危険性がそれほどではなくても特措法の8000㏃や大阪市の2000㏃の規制緩和がどこでも行われていくことは公衆衛生上、行政の安全な執行上無視できない問題です。

簡単に放射性のゴミが低濃度でも処理できる実績ができると得するのは誰でしょうか。

さて、リスクの大小だけが問題ではありません。スソ切り処分の制度化によって一体誰が利益を得て、誰がリスクを受け取るのでしょうか。

利益を得るのは電気事業者です。原発の解体・処分にかかる費用が削減できます。一方、リスクを受け取るのは一般公衆、中でも現場労働者です。利益とリスクとが乖離したこの差別構造が何より問題ではないでしょうか。

*制度化を推進する人は、一般消費者も電気の受益者だと言いますが‥、消費者は世界でも最も高い部類の電気代を負担してきています。原子力は安いとさんざん宣伝しておきながらバックエンド費用をきちんと担保してこなかった責任を転嫁してはいけません。
http://www2.gol.com/users/amsmith/mondai.html


100㏃の通常廃棄物扱い、このことに関しても慎重な国民的な議論が必要です。危険性が少ないとしても、今回の災害瓦礫は、汚染の予防原則と汚染者負担原則から現地での安定管理が必要。またすでに説明したように費用や国費の適正支出、被災者支援にかなっていないのでやめてはどうかと思っています。



D・喫緊の被災地支援とは

さて被災地で起きている問題についていくつか代表的な問題を上げておきます。

こちらは岩手県のがん対策推進協議会の協力もあるもののようです。岩手県被災地を助けるという大阪市長が、放射能は安全などと言っているのを聞くと心が冷たくなってしまうのをおさえられません。

県に子供たちの甲状腺検査実施などを要望
2012年10月10日

岩手県南地域の子供たちへの甲状腺検査のお願い」につきましては、福島県で行われている甲状腺検査の結果、健康への影響は極めて少ないと考えられるとのことですが、添付の最近の新聞記事などにみられます通り、これまで福島県内で3度行われた同検査で、福島の子供たちに少なからず甲状腺への影響が検査の回を重ねるごとに増加していると思われますので、ぜひ同検査結果の再考、再検討をお願い申し上げ、岩手県内でも比較的高濃度の空間線量が計測された県南地域の子供たちについて重点的に甲状腺検査を実施し、結果を公表していただくことを再度お願い申し上げます。

岩手県内の子供たちの尿中放射性物質サンプリング調査において放射性物質が検出された子供たちについて常時給食を摂取しているか否かなど詳細調査についてのお願い」につきましても、ご回答の通りさまざまな困難な問題があるかとは思いますが、添付の週刊誌記事に見られます通り、福島県の市民団体が昨年9月に行った福島、宮城、岩手、栃木、千葉各県の高線量地域で尿検査を実施した結果、これまでで最も高い数値が出たのが、岩手県内の4歳の女児であった、ということから、やはりできるだけ詳細な調査が必要と思われますのでこちらについても再度ご検討をお願い申し上げます。
http://hospice.sakura.ne.jp/whatsnew/2012/10/-1-2.html

2012年10月 5日
仙台労基署への申告、7割増 

 東日本大震災被災地の建設現場で働く人から、賃金の不払いなど労働基準法違反の申告が増えている。仙台周辺の最近1年間の申告件数は前年より7割増えた。復興需要で全国から集められている作業員の労務管理が甘くなっているとして、国も対策に乗り出した。
http://www.e-syarousi.com/news/2012/10/post-594.html

被災地の公共事業のお金は現地の人や労働者に届いているのでしょうか?

復興住宅、4割が「仮設」期限に間に合わない

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県で、県や市町村が計画している災害公営住宅(復興住宅)2万3930戸のうち、ほとんどの仮設住宅が入居期限を迎える2014年度末までに完成する見通しが立っているのは1万3693戸(57%)にとどまることが、各自治体への取材で分かった。

 用地や担当する職員の不足のほか、自力での自宅再建をあきらめて、復興住宅への入居を希望する人が増えていることが要因だ。

 3県で、既に完成した復興住宅は福島県相馬市の24戸だけで、工事を始めたのは完成分を含め848戸(4%)。用地が取得できたのは5204戸(22%)。

 2014年度までに完成・入居の見通しが立っているのは、岩手が計画戸数の91%にあたる5118戸に対し、戸数の多い宮城は38%の5852戸にとどまり、残りの入居可能時期は未定か、15年度以降となる。

(2012年11月19日03時04分 読売新聞)

復興住宅もまともに建てられていません。

あと1年4カ月…原発事故賠償に迫る「時効」
(1/4ページ)2012/11/19 7:00日本経済新聞 電子版

 未曽有の原子力災害に見舞われた住民の損害は当然、償われるべきだ。しかし、東京電力・福島第1原発の事故に関し、損害賠償を請求する権利が消滅する「時効」が適用されるかもしれないという。その時期は最短で事故から数えて3年後の2014年3月。つまり1年4カ月後。生活基盤を失った被災者は「時間との闘い」も強いられることになるのか。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1601W_W2A111C1000000/

あと1年数か月で賠償の期限が来てしまいます。これを誰も大声でいわないのはなぜでしょうか。

これらの問題は二次仮置き場に瓦礫が搬入されており、あとは安全に適正に現地で処理したり弔いの意味で防潮林にしたりするガレキよりもさらに緊急度が高く、早急にしなければならない問題です。瓦礫で助け合いではなく、ひとを、必要なニーズを充当すべきです。予算は目的と優先順位が必要です。震災と原発事故の同時発生という異例の事態にはそれがなおさら求められると思います。
国や自治体や一部企業の思惑で私たちの大事な税金や予算が被災者の方に届かないことに異議を唱え、さらにいつのまにか全国に放射性ゴミが捨てれる条件作りが行われていることに監視の目を届かせること。
これはこれからの市民に求められる市民社会のガバナンスとして必要ではないでしょうか。

日本は財政が厳しいし原発事故は深刻です。
これまでのようなザルのやり方を国にやらせたら国が傾いてしまいます。
いやすでに傾きかけ
多くの人々のかけがえのない命が危険にさらされていることをもう一度思い出しましょう。

それが今国民に試されている大事なテーマです。

最初は私は放射能だけが問題だと思っていました。
しかしこれまで書いたように変なことがありすぎます。
しかもこれはごく一部です。

除染放射線量の測定や、被災者の健康診断がどういう状況になっているか
これらを改善するためにもガレキという規模のあまり大きくない問題に関して
も注意がいります。