細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

会計検査院が復興予算についていいことを書いている件

第 9 東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等についてhttp://www.jbaudit.go.jp/report/new/all/pdf/fy23_09_09.pdf

「3 検査の結果に対する所見」(1209〜1210ページ)を見てください。

本院は、今回、東日本大震災からの復旧・復興に対する事業について検査を実施した。国
及び地方公共団体は、現在全力を挙げて復旧・復興に取り組んでいるところであるが、復
旧・復興のための施策は、総合的かつ中長期的な視点を有し被災地に暮らす国民の声やその迅速性にも配慮して実施することが不可欠であり、復興庁及び関係府省等は連携して、国及び地方公共団体が行う施策が基本理念に即したものとなるよう、今後、次の点に留意して、復興施策の推進及び支援に適切に取り組む必要がある。

予算の執行状況を査定した後で彼らはこういっています。

被災した地方公共団体の意向や要望、取り組んでいる復興施策等を踏まえた経費の配分
事業費の積算を行うこと

つまり今の復興予算は取り組み状況や要望を踏まえて配分されていない恐れがあるということです。

東日本大震災復旧・復興関係経費の執行に当たっては、計画に基づき円滑かつ迅速に事業が実施されるよう、関係行政機関等が実施する事業の進捗状況を的確に把握するとともに、施策の実施の推進及び総合調整を行いつつ、関係行政機関等との連絡調整を速やかに行うなどして、適切、有効かつ効率的な執行に努めること

政府はばらばらに動いてて有効に動けていないということです。

⑶ 復興特別区域制度の運用に当たっては、被災地域の被害及び復興の実情に応じて柔軟に対応するとともに、地方公共団体と十分な意見交換を行いつつ、復興推進計画の特例や復興交付金事業を活用した取組等について把握した上で、情報提供、助言その他必要な協力を行い、地方公共団体の迅速かつ着実な復興の支援に努めること

被害状況に応じた施策が行われておらず、自治体との十分な意見交換が足りておらず、それに基づいた支援ができていないということです。

被災地の地方公共団体等は、限られた人員で震災前と比較して膨大な事業を実施して復旧・復興に取り組んでいることから、その復旧・復興事業の人的な実施体制及び制度の運用状況について現状を把握して、必要な支援に努めること

 被災して自治体職員も被災し死亡した人々もいます。その上、津波原子力事故が起きて生活環境が破壊され移住した人も多数いる中で、膨大な事務を行っています。人手が足りないのです。仙台の地下鉄では、職員募集のチラシがいたるところに貼られているといいます。またついでに言うと仙台労基署ではたくさんの労賃不払いの訴えがあるようです。
 人手が足りないのでなかなかうまくいっていないのです。

本院としては、東日本大震災の被害が甚大で、大規模なものであるとともに、地震津波及び原子力発電所の事故による複合的なものであることなどに鑑み、要請後、できる限り速やかに、まず、被害の状況について整理した後、各府省庁や地方公共団体等が被災地を始め全国において、長期にわたり継続して実施する東日本大震災からの復旧・復興事業の実施状況等について、特に、平成 23 年度予算を中心に、その経費項目別、事業別等の執行状況や復興を担う市町村の復旧・復興事業の執行状況等を分析して報告することとした。そして、今後、効率性、有効性等の観点から、各種事業が、円滑かつ迅速に実施されているか、復興基本方針や復興計画に掲げられた施策に沿ったものとなっているか引き続き検査を実施するとともに、原子力災害からの復興再生についても着目して検査を実施することとし、検査の結果については、取りまとめが出来次第報告することとする。

 ここできっちり原子力地震津波の複合災害という言葉が出てきます。他の行政の文書にはあまりはっきりとは描かれていないもので、私はこの複合災害である点を留意している論者の少ないこと、行政の取り組みが津波津波放射能放射能となりがちなことも気になっています。
 瓦礫処理はこの穴に落ち込んでしまっていると思います。除染もそうですし、被災者の原子力賠償や子供被災者支援法による希望移住も今後視野に入れなければなりません。
 今後の会計検査院の働きが期待されます。

 復興というと美しく聞こえてしまいますが、このように現地の声に寄り添え、被災者救済にきちんと予算が使われているか再検証せよと会計検査院がいっていることを果たしてどれだけの国民が知っていることやら・・