細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

橋下市長の「瓦礫焼却で健康被害はない」に対しての分子細胞生物学者の見解

元京都薬科大学教授で、分子細胞生物学がご専門の大和田幸嗣さんに
放射性物質の低濃度の被ばくの影響について伺いました。

2012年11月7日 大阪市記者クラブにて。



三重の方が1㏃でも出したくないといっているのは、科学的にも正しいです。遺伝学者が放射能は、あの、これで安全だという量はないと。どんなに少なくてもその。それで、病気が出る、変異が起こる、遺伝子変異が起きて、変異が目に見えてあらわれるまでの時間が遅いか早いかで、安全な量はないと、これは1927年から放射線生物学、遺伝学でいわれている。ですから、瓦礫処理で少量の放射性物質が外に出た、出るとして、でますよね、ていうのはバグフィルターでゼロにならないわけです。それを吸う人はまったくランダムです。私の子どもかもわからない。孫かもわからない。それを誰に行くかわかりませんがそれを吸う人が必ずいるわけです。それがすぐにあらわれるかわかりませんが、そういうリスクを一生抱えるということです。(では橋下市長が健康被害は仮定の話で、ないといいきっていますがそれは科学者としては?)それは許すことができません。そんな無責任なことは。もしもかれが政治家であれば、市のひとあるいは同じ空気や水やそういうものを吸っている人の健康を大事に考えるのが政治家としての役割じゃないかと思います。



大和田幸嗣(おおわだ こうじ)1944年秋田県生まれ。横浜市立大学卒業。大阪大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。大阪大学微生物研究所勤務。4年間西ベルリンのマックス・プランク分子遺伝学研究所で研究。1989年から2010年、定年退職まで京都薬科大学生命薬学研究所教授。専門はがんウイルスと分子細胞生物学。Srcがん蛋白質の機能と細胞周期制御。

以下の動画の1時間20分頃から。
Ustream.tv: ユーザー IWJ_OSAKA: 20121107汚染ガレキ受け入れNO!近隣7府県一斉アクション(第3部 記者会見), IWJ_OSAKA1. 市民ジャーナリズム...

大和田先生がおっしゃっているように「ランダム」に「リスク」が「あらわれる」ということを橋下市長は黙殺しています。
福島事故以来国民の総被曝量は増えています。

汚染地域については早急に子供被災者支援法の早期実施によって希望移住の補償の実現が第一です。

それとともに様々な被災者支援を行うことが
重要です。

 同会見で海老沢徹先生がお話のように、放射線防護の観点からは低濃度でも集中管理が原則であり、会見後聞いたところ、彼が原子炉実験所に勤務していたころ、きわめて低濃度の可燃性の放射性廃棄物については、日本アイソトープ協会が一括して引き取り専用炉で、HEPAフィルターを何段もつけて、少量ずつしか焼かなかったとのことです。
 可燃物も、防潮林津波震災記念公園にするという案も宮城県議会からも提案されています。

 そういう事故前の放射線管理を、一般廃棄物処分場に8000ベクレルならどこでも埋めれることにしてしまったということが問題です。これは放射能汚染特措法で、東電のPPP(汚染者負担責任・1972年に公害についてOECDが示したグローバルスタンダードで「汚染物質を排出した事業者がその環境汚染の補償・回復の責任を一義的に負うこと」)が問われていないことや、事実上環境省原子力村の一部である事実と同時並行の現象です。
 つまり事故の損害を、国民の税金である復興予算と国民の健康に付け替えたということです。これが「絆」の正体です。
 今も国有化によって公的資金を湯水のごとく注がれて一昨日は10兆円規模の追加投入を東電は要求しました。
 東電と取引のある大手の金融機関や東電の株主は東電が国有化されずに破たんし、管財整理に入れば、株券はパーになり、金融機関は不良債権を抱え込みます。

 全国民を、とくに東北や関東の人々の健康を見えない形で削っていくのは、いくら経済が大事だといっても、いかがなものかと思います。ICRPでいうところの費用便益計算をした結果、銀行を残して世界経済を今の巨大資本やグローバル企業、原子力産業に犠牲の少ないほうに事故対応をすると日本政府が決断した結果、国民は健康を削られ、最悪の場合命を落とすかもしれません。
 ガレキ広域処理がゼネコンや自治体、一部産廃業者、焼却炉メーカーの利益にしかならず、その利益は献金に化け、おそらく次回衆院選の選挙費用に、くだらないポスターやわいろに化けるのでしょう。

 これは農水省の食べて応援や再稼働強硬も同様の論理であり、そうするとネオリベの走狗・竹中平蔵のコントロール下の橋下徹が再稼働容認し、放射線リスクを軽視し、瓦礫を受け入れ、TPPに賛成し、経済のためなら住民サービスを売りさばくのは見やすい道理です。惑星直列のように彼の考えはある目的にのっとってそろっているわけです。

 そこには、経済や社会を支える人間の健康や環境という視点が欠如しているのです。
 大阪のガレキ反対はむろん全国同様、経済の人質になった人間の叫びという側面も持つでしょう。