福岡市長と細野環境大臣の広域処理をめぐっての会談及び福岡方式に関するメモ
福岡市長は細野大臣の災害廃棄物広域処理の要請について
こう答えました。
まとめます。
1.処分場は博多湾に接している。
2.放射性セシウムの水溶性に鑑みて環境省は埋立の遮水性を求めているが福岡市の処分場は積極的に水を通している。なぜかというと環境省と連携して温暖化ガス排出削減の努力をするためそういう処分場の工法にしているからだ。ゆえに閉鎖性の高い博多湾沿岸処分場への埋め立ては水質汚染が懸念される。また博多湾の水を淡水に変換して飲料水にしている。博多湾の汚染が起こされたら福岡の人々の健康安全に影響が出るので現時点での広域処理への協力は難しい。
3.100ベクレルという原子炉等規制法の基準が今回、8000ベクレルでも埋め立て可となっている。しかし基準の上下、処理方法など大丈夫かどうか不明な点が多く、科学技術的な根拠を環境省は示してほしい。それが環境省に丁寧に行ってほしい職務。これまでの放射性物質の管理からして理解しがたい。
4.福岡市としても、被災地域への復興支援に協力しないわけではない。それどころか積極的に取り組みたいと考えている。
被災地域に技術系の職員が不足しているということで、さらに先日派遣して現地での復旧や瓦礫処理について、支援をしている。まずこちらに持ってきて新たに処理場を立てるよりも現地での安全な処理、復旧が大事。そのためになら惜しみなく支援をしていきたい。また今後も地域の特性を活かした支援をしてまいりたいと考えている。
以上まとめです。非常にわかりやすいです。
福岡県の環境全体をざっと見てみましょう。大きな県なんです。かつては石炭や鉄鋼といった工業生産で栄えた町です。
「福岡県の環境の現在」という文書より以下引用
http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/kansei/H14/keikaku01.pdf
② 福岡県の人口や経済活動は、日本や九州の中で大きな位置を占め、
その規模はフィンランド1国分に相当します。このため、本県の環境
保全に向けた取組は、国内外で大きな役割を果たすことになります。
(人口:全都道府県中9位、九州8県合計の33%)
(人口密度:1,009人/km2、全都道府県中7位)
(県内総生産:全都道府県中9位、九州8県合計の37%)
⑨ 福岡県の一般廃棄物※埋立量は、全都道府県
中7位、九州8県合計の28%を占めています。
また、その約4倍の量の産業廃棄物※が県内で埋
め立てられています。
では福岡市です。市長が言っている処分場の埋め立て工法は何か?
第3項国際環境協力の推進
1 現状と課題
○ 福岡市ではこれまで「福岡方式」廃棄物埋立技術などの廃棄物処理の分野を中心に、ア
ジア・太平洋地域などへの技術協力などを推進し、成果を上げてきました。
○ また、海岸・河川・山なみなどの一斉清掃「ラブアース・クリーンアップ事業」では、
九州各県の各自治体及び大韓民国釜山広域市にも呼びかけ、市民・事業者・行政が協力し
て実施しています。
○ 中国など東アジアでの化石燃料の使用量の増加に伴い、酸性降下物が増加することが考
えられ、将来、福岡市においても土壌の酸性化が懸念されます。このような地球的規模の
環境問題の解決に向けて、国や様々な主体との連携や役割分担を図りながら、国際的な協
調を推進していくことが必要です。
(「福岡市環境基本計画(第二次)」より引用)
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/1162/1/1591053103251.pdf
福岡方式とは何か?
CDM理事会(7月15日、モロッコで開催)において、本学と福岡市が1975年に共同で開発した「準好気性埋立構造(福岡方式)」による既存埋立場の改善がカーボンクレジットを認める新たな手法として認定されました。
これに伴い、7月26日(火)、福岡市役所にて松藤 康司 本学工学部教授ならびに高島宗一郎 福岡市長が記者会見を行いました。
今回認定された既存埋立場への改善は、新たなCDM手法として埋立場で発生するメタンガスの排出抑制手法として世界初であり、福岡発の埋立技術が環境保全以外の面で地球温暖化対策としても有効であることが世界に認められたことになります。
「準好気性埋立構造(福岡方式)」が国連に認定される - 国際関連ニュース|国際|福岡大学
福岡方式(準好気性埋立構造)の開発経緯
1970年頃の福岡市の埋立場(八田埋立場)
1960~70年代初めまでは、日本も現在の途上国と同じ状況であった(=嫌気的埋立)
↓
有害浸出水、悪臭等の環境問題の
発生
↓
浸出水の浄化を目的とした埋立地改善実験の開始
(「福岡方式」福岡市環境局より)
http://www.fukuoka.unhabitat.org/kcap/activities/egm/2009/pdf/oyamada_jp.pdf
↓
この文書の14ページに出てきますが
従来の空気や水を通さない嫌気性埋め立て工法では
「•二酸化炭素、メタンガスなどの有害物質の大
量発生
•ごみは水浸しの状態であり、かつ嫌気的」
だったそうで、
2好気性埋め立ては
「•二酸化炭素、メタンガス
などの有害物質の軽減
•浸出水処理が容易」
だが•建設、維持費が高いという頭の痛い問題があった。
福岡市では準好気性埋め立て工法にして埋立地の間の水をよく通し
排出ガス削減と水質管理が出来てコストの安い方法を開発できた
ということのようです。
もう少ししっかりしらべたいところです。
で、廃棄物に関しては
・なるべく出さない。
・環境負荷の高いものを出さない。
↓
・処理量を減らす。
・処理するものをしっかり選別する。
・リサイクルできるものはリサイクルする。
・処理過程における環境中への有害物質の拡散抑制、作業員の安全性の担保。
↓
・最終処分量を減らす。
・環境負荷の低いものを埋め立てる。
・その量を減らす。
・埋め立て工法や浸出水処理を工夫し温暖化ガス、有害物質などの排出量を減らす。
この最後の工程での二酸化炭素や有害ガス削減のところで
福岡方式の話も出てくると。
焼却のことを考えたりはしていたのですが
青木泰さんの指摘によると
実は埋め立てや廃プラ処理を通じた温暖化削減の環境省の方法の中にも
子細に見ていくと不可解な点があるようです。
① 環境省は埋め立て処分場問題を最大課題にし、循環法から撤退を始めていた。
環境省は、昨年2度にわたって行った環境省交渉の中で、「基本方針について、要点は発生抑制、再生利用、熱回収に対し順序立てを行ったことにある」と建前では、認めつつ、東京の11区の廃プラ処理について、「現状の廃棄物行政における最大の課題は、最終処分場への埋立て処分を止めるということであり、それを少しでも減らすというのは『一歩前進』である。」と答えた。
もし環境省が言うように容器包装リサイクル等の再生処理への努力を抜きに、すべて熱回収するのを「一歩前進」としてしまえば、基本方針の中の「それでもなお残ったものは」の文面を勝手に削除したに等しい解釈になってしまう。またごみ発電さえすれば「一歩前進」であるとする解釈になり、基本方針とは明らかに異なる見解となる。
テーマ「温暖化問題」のブログ記事一覧 青木泰のブログ /ウェブリブログ
なんでも複雑です。
話を戻しますと
今回埋め立て処分場がセシウムや放射性物質の排水管理に困っています。
関東東北でそういうことが起きています。
環境省は早急にこの調査、対策、埋め立ての再検討が必要です。
ゴミ処理ができないと都市生活は困難になります。
東京都は下水汚泥の有価償却が困難になっているようです。
下水汚泥も再利用できるようなのですね。
で、さらに今回の災害廃棄物は放射性物質や
様々な環境規制に引っ掛かる物質がある疑いがあります。
関東や東北の被害を是正するためにも
広域処理対象になっている瓦礫や廃棄物の中に浸透、付着した
汚染物質の調査と、その処理方法が焼却でよいのか
広い観点で検証し
再利用についても人が頻回に接する場所への再利用についても
慎重になるべきだと思います。
環境省は有害物質の規制、未然の健康や環境被害の予防に力を
入れてほしい。
福岡市長もそういいたかったのかもしれません。