細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

厚労省除染作業員の線量基準への意見

11月24日に内閣府ホームページより関係各省に送信したものです

除染ボランティア及び除染作業員の線量基準について
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-52/hor1-52-57-1-0.htm
「男性労働者及び妊娠の可能性のない女性労働者については年間20ミリシーベルト、妊娠の可能性のある女性労働者については、3月で5ミリシーベルトを超えないよう管理すること。」と決めたようですがこれは3か月の被ばくで白血病発症の労災認定基準の0、5レムに当たります。したがってこれはとてつもない高い数値です。作業員の健康に障害が起きかねません。
http://joshrc.org/kijun/std02-5-810.htm#2-2-5 ということは放射線障害防止法http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO167.html
及び電離放射線障害防止規則に抵触する恐れがあり、それらの法令に従う身分保障、訓練、線量管理が必要です。今回は事故処理であり放出者や国の責任が大きいことをまず自覚してください。電離規則の場合3か月間に1.4ミリシーベルトつまり年5.2ミリシーベルト放射線管理区域になります。こういうところで働くばあい十分な訓練を積ませなければ国としてそれを実行するなら法律を違反することになります。運用状況はこうです。http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/news/boushihou/__icsFiles/afieldfile/2009/11/25/1287192_01_1.pdf専門の従事者でさえ5ミリシーベルト以下が大半です。しかもそこは大量の土砂や粉塵のある自然環境ではないのです。(ダストは管理されている)しかし今回は自然環境内です。どんな内部被ばくがあるかわかりません。いくら緊急時とはいえ、これまでの放射線管理体制がなんのためにあったのだろうか。既放射性物質の内外被ばくは人命にかかわります。ましてやボランティアが万が一この線量に浴びたとき、コープ福島によれば除染ボランティアは放射線被ばくの保障を受けられないのですから、除染のボランティア活用は原則禁止すべきです。しかも今回の除染地域は膨大です。要員が確保しうるか疑問です。訓練期間も十分ではないでしょう。この作戦は危険です。大規模な除染が必要な地帯は、除染ではなく瓦礫や土砂をきちんと遮蔽して埋めた後は水源や土壌汚染を管理するだけにするのが適当だと思います。ベラルーシウクライナはそうしています。それはお金の問題もありますが労働者が被ばくによって病気になる恐れがあるからです。(詳しくは11月23日の朝日新聞朝刊1、2面にて「300年間は住めない、汚染大地からチェルノブイリ原発事故25年(朝日新聞)森も畑も除染断念、超高濃度汚染25年後も残存」という記事があります。ぜひ読んで除染は限定的にしかできず、ほとんどの農地や森林を放棄したことをご覧ください。福島も日本三番目に面積の広い農業県でした)原子力安全研究協会の緊急被ばく医療のページhttp://www.remnet.jp/lecture/b05_01/2_2_5.html でα粒子の内部被ばく線量係数はγβ核種に比べ20倍と書いてあります。大変危険な粉塵の飛び交う場所をボランティアにさせたり実験所以上に被ばくのコントロールが難しい環境で汚染土壌のそば(計画的避難区域などの)で作業させるのは大変危険です。入っていいなら皆帰れます。そうではないから除染するのですが除染作業員にボランティアがいる、そして十分な補償がないでは話になりません。他の法令に数字だけ合わせてますが精神において放射線防護からほど遠いといわねばなりません。この厚労省の法令や環境省瓦礫処分に見える法令違反は法治主義を揺るがすものです。ただちに廃止して、除染が困難な地点について即被ばく状況にある住民が安全を確保できるよう避難させる補償を出してください。

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という提案を書いた。この意見も参照http://d.hatena.ne.jp/ishikawa-kz/20111125/1322216513むろん除染の有効性について各種子細な議論はあり、私の意見は妥当かどうかわからないが、要するに言いたいのは、故郷を奪われそうな住民の意見を政府東電がきちんと聞くことであり、それが実際回復可能かどうかを住民と話し合いながら考えることと、同時に被ばくリスクはあるのだからそのリスクに弱い住民を早急に避難疎開させるように準備することであって、除染の作業員の基準がどうこうというのはそれからでいい。
またもっと言うなら、除染の作業員や今第一原発で作業している人々の労働安全を確保できているのかという懸念がある。全然できていそうな気がしない。この国は被ばく労働の危険性を軽視してきた今までですらあった法律を壊し非常事態に混乱しあるいは乗じて被ばくさせる人を増やしているとしか思えない実態。ここ重要。そして、最後に被災瓦礫については実は実際バグフィルターで気化したセシウム137を捕集しきれるかどうか疑問が出されている事実があり埋め立ての基準もその総量で合算するととてつもない値になり、人体についても環境についても日本政府は守る気があるのだろうかという疑問が去らないのである。
こういう意見を言うと被災地のことを考えないのかという人が必ず現れるようだが被災地の復興が現実的に可能なのはどの程度なのかを住民と一緒に必ず放射線リスクを最大限検討しながら進めないと、住民が被ばくしながら復興しなければならないというとても苦しい状況に追い込んでしまう。だから復興の可能性を検討するためにこそまず放射能や各種汚染や破壊について現実的に検討し、暮らすことが難しい場所においては政府や東電資金で必ず移住や代替の住居を補償すべきというのが私の意見である。それ以外にも生活支援や仕事の支援、医療補助やこまめな支援が必要な地域はたくさんあるだろう。その地域の汚染度、特性に応じて放射線対策を組んでいく。これは予算はいくらかかるかわからないが、予算が可能な限り組むべきであろう。TPPへの参加の是非やオリンパスや巨人の問題より優先度が高く、将来影響を私たちは無視してはならない。
内部被ばくから考えれば、日本の食品は全国に流通し太平洋の汚染水による漁場の汚染は規模すらまだ把握しきれないほど深刻な恐れがあるのだから、東北や関東の汚染状況を直視し、放射性物質の管理をきちんと行わなければならず、そのことも提案した気がする。

さらにあなたは西日本にいるからそういえるという意見があるならば、こう答えたい。そうなのである。数値はまだはっきりしていないが懸念すべき汚染が大阪で発見されてはいない。私は公衆衛生研究所のデータを見たが、セシウムが3、4月に一平方キロあたり十数メガベクレル降下したのは一応おさえたうえでいえば、一応四国や中国山地は一定程度汚染物質の沈着がみられるので、それらが山から下りていくばくか河川や農産物を被ばくさせる恐れはないとは言えない。あるいはいくばくかの汚染は受けている。
しかしながら相対的には静岡以西より降下は少なかったのである。とはいえ、私は関東や福島の人々とツイッターで意見を交わす限り相当の感覚の違いを感じる。東日本の人は黙るにしろ話すにしろ相当な緊迫感がある。しかし大阪は汚染を危機感を持ってどれくらい見ているかわからない。たぶん多くの人はがれきも農産物もそんなに心配していないだろう。心配している人は「放射能ノイローゼと呼ばれないか」戦々恐々としているかもしれない。実際そういうことを言う専門家や政府がいたから困る。ただ、私は危機感が不均等で格差が起きつつある現状に懸念や憂慮を覚えている。むろんそれは仕方ないことなのかもしれない。しかしこの事故は長期戦であるから風化を恐れる。大阪では風化以前に危機感を持っている人の絶対数が少ない。本当は世界の国々の助けを借りながら、西日本の人々も、ああいう事故が起きたら日本は居住区域がほとんどなくなるから原発放射能への危機感を持ったほうがいいと私は切実に考えている。
また被災瓦礫や食品汚染に限っても食品流通網や自動車道で結ばれているのが日本の姿なのだから、政府にきちんとした事故対処と、放射能対策、汚染地帯の人の安全対策を求めて東日本を支援するのが西日本の人々の取りうる役目なのだと思う。
日本の輸出品は多く輸出制限や産地による規制を受けている。経済影響は計り知れない。また海洋を汚染したということは実際太平洋に面する人々の多くに迷惑をかけていることでもある。また放射線被ばく影響がもしも顕在化したならば、多くの人が生き辛くなるかもしれない。そういう事態を何とかしなければ、いけない。なぜなら放射線の被ばく影響が過少に評価されようとする様な国は、どんな病気や社会的困難にも冷たいだろうからだ。それが今までの日本の姿だった。それを変えなければならない。病気でさまざまなケアを必要としている私もこの国や社会から見放されるだろうという強い危機感があるのだ。これは強い危機感だ。