恩師の死の後に
今日は通院日。それにしても風が冷たい日であった。夜は冷えるだろう。
診察では先ごろ15年以上も付き合いのあった大学の恩師が亡くなって、かなりショックだという話をした。主治医は「それは辛いね。しばらくは少し大変かもしれないけど時間とともに少しずつ落ち着くと思うよ」といっていた。非常にありがたい言葉だった。
というのは(これはまとまった文章で書いている途中なのであるが)とにかく私の危機の20代前半を支えてくださった大きな要として、恩師の存在があるように思うからだ。私は今よりもさらに孤立してというか心を閉ざしていきていて、人も今の何千倍も恐れていたので、そういう私にとって恩師と交わす何でもない会話が当時のオアシスだった。
危機が一段落して介護の仕事をはじめたかれこれ10年ほど前、先生は「石川君はあまり丈夫でないように見えるのに、なかなかタフなのかもしれない」といってくださった。そしてまた介護をやめた7年前見た目にボロボロになったとき先生は、「石川君、げんきになるためにちゃんと病院にいったほうがいい」といってくださった。
そういうふうにして要所要所で先生にお会いすると必ず先生は何かいってくださった。だからその先生が旅立たれて、とてもさみしいとしか今はいいようがない。だけどいえることは私はこうして大切な人を見送りながら、これからしばらく生きていくのだろうな、それが年を取るということなのではないか。