細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

なんか面白い先生だった。-水虫にかかるの巻

なんだかよく原因はわからねど、ものを書く気持ちを失っていたのである。というか、失ったというのはちがう。書く気持ちは絶えずつくられなくては消えてしまうのだから。

暑いということもずいぶん大きい。けどもそんだけじゃない。たぶん書くものを誰に読んでもらってるかよくわからなくなるので。

宇宙の漆黒の方へおおい!と叫んでもいいわけですが、やはりそこは私も人の子なので、呼ぶ相手というか目当てがいて、こっちへ来てまあ私の話を聞きなさいってなるんです。

むろん大した話ができるわけではない。ひとに聞かせられる話なんて、だいたい自慢くらいなもので、でも自慢するネタもなけれればただぼんやりしてるだけであって。

ここんとこ親父に半年ぶり以上くらいに電話したりした。電話しても喧嘩になるのでお互いやめていたのである。

とりあえず話せたのが安心であって、親父は少し不整脈の気があるようだが今んとこ大したことは何もなく、運動もやっててかまわないそうなんだ。

親父も年を取ったなあと思うのである。

本を読むことがすこしたのしくなってきたこともある。
レヴィナスの「存在の彼方」は今まで本当に何が書いてあるかわからなかったのだが、あるときから読めるようになった。

高瀬舟も面白い。

それから水虫がみつかった。調べてよさそうな皮膚科をさがし、朝電話すると速攻でその日の予約が取れた。行くと、受付の方々が子供の名前のつけかたについて議論している。で、てきぱきしている。客は多くはないが耐えることはない。評判がいいんだろうと。

4っつくらい合皮張りの長椅子があって、手がかゆそうな人とかがいるのである。

私の名前が呼ばれる。看護師が靴下を脱いでくれという。そうする。そのまま足を靴につっこんで待っている。横の診察室とつながっていて先生はもうひとりの患者に話している。しばらくしてはげあがった、飄々とした感じのおじさんがあらわれて、どうしたの?という。「左足の親指に十日くらいまえからぷつぷつが」先生「いつから?」私「十日か二週間くらいまえから」
先生「ふーんこれ水虫の可能性があるね」
私「え?」
先生「検査してみるね」
看護師「検査するので足をここに出してください」

検査ってなんだろう・・

先生は向こうの部屋に入る。中年の看護師らしき女性が皮膚を削るナイフとピンセットを消毒して水疱になっている部分を削り出す。プレパラートに5切れくらい各所から削り出す。
ひととおり削り終えると消毒もせず去っていく。先生はそれを顕微鏡でみているらしい。姿はみえない。さっきの看護師に「もう少し液体をたしてくれ見えない」といってる。

少し間があって先生さわやかにっこり登場。
先生(どうだといわんばかりに)「はい間違いなく水虫です!」
私「かゆくないですよ」
先生「かゆくないタイプのもあるんですよ」
先生「この検査結果用紙を上げるね!」

ほんまや白癬菌のとこ+や…
先生、俺が信じたくない様子なんを察知したんかな。
やるな…くそう。

先生「あなた二週間か十日くらい前どっか公共の場所でスリッパとか履いた?」
私「いや覚えてないです。たぶんないです」
先生「ふーんそうか。どっからもらってきたんだろうねえ」
先生「とにかくね、薬出しておくからね。液体のやつ。欲張っていっぱい何回も塗ったからって治りませんよ。一日一回ね」
私「お風呂上りとかいいですかね」
先生(看護師と顔を見合わせ)「そうねお風呂上りが一番いいな」
先生「今処方されている薬」を指さして「なんじゃこりゃ?」
私「精神科で出してもらってる眠剤とか抗うつ薬とかです」
先生「あーあーそうかそうか」
先生「じゃあね、これ薬出しておきますからね。で、ひと月くらい立つか無くなるかしたらまた来てください」
私「あ、ども、ありがとうございます」
先生「じゃあお大事にね」

なんか面白い先生だった。この話が最新の面白ネタ。
私もおっさんの仲間入りです。でもなんで水虫はこんな名前なのか。