細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

C・レヴィ=ストロース亡くなる

フランスのル・モンド誌でトップで報道されたようだ。
こないだのエントリやっぱり - 細々と彫りつけるで読もうかなみたいなことを書いたところだった。
20世紀の文化人類学のみならず、哲学、芸術、それから社会や文明の考え方に多大な影響を与えた人。
100歳越えていたようだ。歴史の証人でもある。無類の蒐集家でもあり、日本にも来ていた。サンタクロースに関する研究も会ったと思う。
レヴィ=ストロースの綴りは、ジーンズメーカーのリーバイスと同じ。

あと、レヴィ=ストロースと学生時代の同期にボーヴォワール、メルロ・ポンティ、ポール・ニザンなどがいる。1908年生れ。研究でブラジルを訪れたことを書いた「悲しき熱帯」でヒット。第二次大戦でフランス兵として召集され、その後ユダヤ人迫害から逃れるためアメリカに亡命する。その船の中でアンドレ・ブルトンと話していたとか、ニューヨークではエルンストやイブ・タンギー、ロシアの言語学ヤコブソンと出会うなどもうなんといっていいか、歴史の生き証人であったのだ。詩や芸術のことももちろんすごく通暁していたと思う。浮世絵も好きだった見たい。

Disparitions : Toute l'actualité sur Le Monde.fr.

(追記)
もちろん、フランスでは大きな衝撃だろうなと思います。しかし日本でも、一時花咲いた人類学の山口昌男さん(山口昌男がいじめについて考察している文章があって、自分はいじめられっこだったので大変勉強になったんです。あと、「排除」とか「犠牲」の問題も人類学の大きなテーマで、これも日本の学者もいっぱい研究しているんです。)や、直接学んだ川田順造さんなどがいて、意外と遠い出来事ではないようにも思うのです。
レヴィ=ストロースとは直接つながらない流れかもしれませんが関西には万博公園国立民族学博物館もあり、異文化研究は一時大きな流れになった。

戦前、岡本太郎もパリに行って人類学を勉強しています。モースというレヴィ=ストロースより一世代前の人だけど、パリ大学のソルボンヌ校だからきわめて近い場所にいたんでしょうね。岡本太郎は万博の太陽の塔を作りました。
自分は大阪の北部に住んでいたから、万博も古い遺跡もたいへん親近感があるのです。そういう感じというか。まあ個人的な思い入れでしょうけれども。

自分は大学で人類学の授業を取りましたら、難しいんですがすごく楽しかったんですね。知らない場所、知らない言葉、自分の見ていない世界を見ようとする意志の一方で、フランスはアフリカやアジア等にたくさん植民地があり、それへの反省の意図がレヴィ=ストロースの人類学はあるようなのです。
あと先日も述べましたがはじめて現代思想のオリジナルを買ったのがたしかレヴィ=ストロースの「アスディワル武勲詩」でした。北米大陸先住民族に伝えられる物語をレヴィ=ストロースが分析していました。ただ意味を読み取ったりするんじゃなくて、その物語の中にある言葉の配置とか、その用法の仕組みを取り出して、その当時の生活や地史みたいなものを浮き出すというものでした。すごくスリリングでした。さいきんレヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」か「野生の思考」を読もうかなとおもいだしていた時だった。その矢先だったんです。
題名も文学的なんですよね。やはりピカソが活躍している時代にパリでいたり、シュルレアリストと友達だったり、芸術肌で、論理的というのがなんか憧れます。

C・レビストロース氏死去 構造主義の巨人 - 47NEWS(よんななニュース)