細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

鈍く、しかしきらっと光る

今日は買い物に行ってカーペットを冬物に敷き替えた。ベランダのみぞが汚なかったので掃除した。最近便秘気味だったが、便通もよくなった。
ゆうがたになり室生犀星の詩集をなぜか読み出した。同時代で、同じ詩誌をつくったこともある三巨塔と比較する。
北原白秋のような歌心あふれた感じとも微妙に違う。リズムは面白いが流れていかない。もっと澱んだ、それでいて卓越した描写力。また朔太郎のようなパキッとした感じともちがう。鈍く光る世界を克明に描く感じ。山村暮鳥のような感じのガツンとした狂気とも異なる。
つまり鈍いけど光っているのだ。北原白秋が金で、朔太郎が銀、だとすると暮鳥は水晶とかダイヤ。室生犀星は、銅とか、錫とか、鉛みたいな感じである。しかしそれはある種含蓄のある、豊かなものだと思う。世界としては完璧に鬱なのだが、感覚はまちがいのないものがあるのだ。

そのあと夕食を取った。

あと、
現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス)を読んでいる。日本の戦後史を、社会秩序の構成の方向から見た感じか。これはNHKブックスでいろんな読者が想定されていると思う。研究者ではなく、僕らのようなその辺にいる人にも歴史のニュアンスをわかるように書いている感じがする。東浩紀や宮台さんは、天才的な反面、何かハラハラしてしまう。赤木智弘雨宮処凛は目立つのはできるが、丹念な仕事ぶりではない。しかしこの本は丹念に書かれていて、左右両思想への目配りも利いていて、やっとこういう落ち着いたものを書ける自分と同世代のひとが出てきてよかったなあと思う。
J・S・ミルの自伝がなかなか読みすすめられない。天才過ぎて、少しついていけない。でも文章自体は滅法面白い。

あと、最近NHKのきらっといきるは必ず見ている。非常に取材もうまくされていて、スタジオの司会やコメンテーターの玉木さんの言葉も的を射ている。ノーマライゼーションというが、その言葉がこの番組の中では生きている。恩恵的な福祉や、あるいは制度としての福祉を取り上げる番組はNHKにはたくさんあるが、これは少しちがう。その中で実際誰かが生活するために何が必要かという視点の確かさ、具体性が感じられる。自分で生活したいけど、どうしたらいいかわからない。人間関係の中で具体的に衝突や困難を抱えている。そんな迷える福祉関係者、ご家族、当事者も必見かと思う。つまりそれは俺のことでもあるわけだけど。
もちろん障害とかなんたらに関係なく、人そのものをみるドキュメントとしても面白い。
これまでの番組内容のまとめをバックナンバーで見れる。このバックナンバーも読みやすい。
http://www.nhk.or.jp/kira/