細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

ひっかかる

今日出かける前に原爆の日の式典があり見ていた。
広島市長、こども代表(小学生2名)、麻生総理が話したのを聞いていた。

市長が「オバマジョリティ」というのにひっかかってしまった。
http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1244613195105/index.html
もちろん素朴な疑問としては原爆はアメリカが落としたのに、なぜそこの国家元首が多数派(平和をのぞむ)になってしまうかという疑問がある。
しかしそこにひっかかっていたら、先に進みようがない。
もちろん好意的にみれば、オバマはロシア側と会談し、核兵器の廃絶にむけた宣言を出したことはすばらしいことかもしれないし、オバマは人気があり、また黒人である。だから、被抑圧者側のシンボルに比較的ふさわしいということがある。広島市としても、オバマをシンボリックに使うことで「平和」運動を展開していきたいという思いがあろう。

ただ、事実上日米政府両方の合意で半ば公然と日本に核兵器が持ち込まれている。どうせそんなことだろうとは思っていた。ただ、僕は表では「非核三原則」といい、実は核兵器の持込を許していたということがどうしてもひっかかる。(http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009053101000320.html)それなら、「持ち込んでいます」と日本政府はオオヤケにいったほうがよかったくらいだ。

そういう日本政府や政治家が非核化に対して何の頼りにもならないから広島市長は「オバマジョリティ」という言葉を思いついたのだろうかと勘ぐった。しかし米ロ両大国を含め、非常に核兵器を減らしていくことは困難だろうと思う。中国、インド、それだけでなくヨーロッパ、中東などなど、それがどのような国際的勢力均衡かを考えるなら、ほぼ共通合意が成り立つのかどうか…
だからオバマジョリティなるものは、どこに存在するのかという…

核を減らすなら、本当はリアリズムしかない。各国家が核兵器により自衛や商売を目論むより、富んだり、落ち着いた状況をつくる必要がある。いつ失脚するかわからないオバマをシンボルにしても仕方ないことだけはアホの私でもわかる。

そのあと麻生総理が非核三原則といったり、我々は被爆者の援護に努力しますという度に力が抜けてしまった。選挙対策だろうけれど、誰が聞いてもこの人が日本を戦争の惨禍から守る人にはとうてい見えないからである。

今も日本は自衛のための戦力を保有しているが、どうしたら極東アジアの中で、安全を守れるかということと、どうやったら核兵器に限らない残虐な兵器の保持や使用を減らせるのか。これは両立しそうもない問いだが、これを考えない限り、日本国民だけでなくアジア、全世界から期待されない国になりつつあることは確かである。

歴代政府も広島市長も期せずして、「アメリカ頼み」の思考なのはまちがいない。もちろんアメリカは未だに日本にとり重要な国である。しかしべったりになった瞬間何かがちがってしまうだろうことはわかる。


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もう一つ初めての裁判員裁判の判決が出た。懲役15年とのことである。速報を見る限り、検察側の主張を大部分認め、ほぼ弁護側の主張は退けられている。あえて評価めいたものを述べるのは避けるが、弁護側は起訴事実を認めた上で、情状酌量をもとめる戦術にでたが、それはうまくいかなかった。

こうなったら弁護側が控訴することもありうるだろうと思えてきた。もちろん被害者側の気持ちや事情は想像にあまりある。ただ、弁護側が一歩引いたのに肩透かしを食らったことは間違いない。
おそらくかつてなら、検察側求刑15年に対し10〜12年だと言う人もいた。それが妥当かはわからない。この裁判の場合、被告は72歳であり、10年でも82歳、15年なら87歳。そこまで考えるなら恐らく寿命が服役中に尽きることも考えうる。

私は裁判や司法に関し全くの素人だが、裁判は社会秩序の要請であると考えている。ならば、原告、被告の双方の利益・不利益をうまく勘案したらかつて相場だった懲役12年になるのかなあとも思った。

この裁判は冤罪や、起訴事実に重大な瑕疵があるわけではなく大筋では被告及び弁護側は認めて事実上酌量を考えてここで納めようと弁護側も努力して裁判を戦っているはずだ。そこを汲み取ってなんらかの形で反映させなければ、逆に裁判が長引いてさらに被告・原告双方にとり、辛い将来が待っているようにも危惧した。

また逆に全員が意見を出し尽くすには、期間も国民の参加形態にも問題があるようにも思える。なにしろいくらなんでも4日はキツイ。その前にほとんど司法のプロにより筋書きは作られるだろうから、ほんとに参加する意味があるか疑いたくなる。