細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

ひさしぶりにジジェク

スラヴォイ・ジジェクとの対話 「あれから40年、我々は今?」 前編 | Democracy Now!
昨年のアメリカ大統領選の最中にテレビで、自著の宣伝も兼ねて話す東欧の哲学者スラヴォイ・ジジェクの動画がある。

皮肉や逆説や諧謔を駆使した、しかしある意味では単調にも見える怒涛の思想オタク的独演会ぶりに退く人も多いかもしれないが、(僕も時々呆れたけど)すごく刺激的である。

「今こそこの不正に断固抗議を!」となれば「そんな政府も許すようなデモではダメだ!もっとガンガンやれ」みたいにいい、あるときには「硬直化したモラルに囚われては行動なんてできない。適切な現状認識の地図を描かなければならない。そのためなら行動しなくても恥じることはない」という。

行動と認識を単純に対立させる立場からは矛盾もはなはだしいが、しかしジジェクは自分たちが生きている世界こそが「矛盾のかたまり」なんだから、それに応じ、それが危機をもたらしているのだから、そこを「直視」しないとダメだろということであろうと思う。
結局どうしたらいいのかわからないが、本人もそれは「答えを出すことは哲学者の仕事ではない。出されている問いがどう成り立っているかを探り別の問いに置き換えるのだ」といっている。逃げ腰にも、しかしある意味、謙虚?にも思える。
杓子定規な正義が導入されることこそが破局をもたらすといっているのかもしれない。メタな議論をたくさん用いているが、いま自分が何をし、どこにいるかを感じたいと。まあ、皮肉たっぷりだからわかりにくいけどなあ。
このインタヴュアーの冷静な質問もいい。