細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

社会福祉士試験でよく出る学者さん二人の訃報

今月8日KJ法という発想法で有名な川喜田二郎さんが亡くなった。89才だった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20090709-OYT1T00663.htm
KJ法も受験テキストに必ず出てきた。

KJ法→解説:http://www.crew.sfc.keio.ac.jp/lecture/kj/kj.htmlなるほど、思いつくままに直感をメモにたくさん書く。たくさんメモが出来上がる。それを似た発想同士にグループ分けして、その関係性(コンテキスト?)をつなぎ、ひとつの巨大な発想の地図が出来る。直感とか思いつきって、その場その場のひらめきだけど、つなぎにくい。それをつなぐ方法のひとつなんだな。

今西錦司(霊長類学、人類学者)の弟子で、彼と一緒に山に登った。今西は今の霊長類研究にたずさわる多くの人材を輩出した。川喜田さんは今西氏の弟子の中ではどちらかといえば、国立民族学博物館にかかわった梅棹忠夫さんと似た「民族学・人類学」研究者の方向だと思う。川喜田さんと梅棹さんは情報の整理や発想法に関わる本も書いている。
川喜田二郎 - Wikipedia
なになに、「チベット二郎」と呼ばれるほどのチベットを愛する人でチベットへの中国侵攻に怒りそれ以降中国に行かなかったんだそうだ。「鳥葬の山」などを書いた。読みたいなあ。

           
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もうひとりラルフ・ダーレンドルフ。2009年6月17日に亡くなっていた。ダーレンドルフの訃報は稲葉振一郎さんのブログラルフ・ダーレンドルフ - インタラクティヴ読書ノート別館の別館で最近知った。ドイツの社会学者。自由主義陣営の社会学者として、マックス・ウェーバーの理論に寄りながら、マルクスの言う「階級闘争」の解決を、マルクス主義ではない方向で志向する研究をしたらしい。
ラルフ・ダーレンドルフ - Wikipedia
社会福祉士の試験では「ホモ・ソシオロジクス」という用語の発案者として有名。

放送大学の船津衛氏の説明を見てみよう。

ドイツの社会学者R・ダーレンドルフによると、現代社会学の人間のイメージは「ホモ・ソシオロジクス」である。それは社会の期待に外から拘束されて、自己の行為を受け身的に行う人間を指している。しかし、それはあまりにも社会化過剰の人間観である。人間は社会的存在ではあるが、完全に社会化されてしまった存在ではないといえる。引用元:http://www.u-air.ac.jp/hp/kamoku/kyouyou/syakai/s_1599119.html(このページは自我社会学や役割理論の講義のレジュメみたいな感じ)

つまりダーレンドルフは当時の社会学が描き出す人間像があまりに今の社会に迎合している人間みたいだと皮肉っていたようだ。親や先生、企業、上司、ありとあらゆる人の期待に沿おうとする「良い子」は逆に「社会化」されすぎていて自由がないといいたかったのだろう。
これは実は当時の西側つまり自由主義陣営でも高度な社会のシステム化が進み、「自由」が少なく息苦しいと彼はいいたかったのかもしれない。