細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

第21回社会福祉士国家試験の合格点、合格率、それから養成の今後

 社会福祉士国家試験を実施している試験・振興センターのデータだと、合格点は85点/150点満点。で、合格率29,1%でした。

 ちなみに昨年度(第20回)は合格点87点で合格率は30,6%。一昨年は(第19回)は合格点81点、合格率は27,4%。19回は難しかったんだな。で20回優しくしたら合格率が上がって点数もあがった。今回は、20回と19回の真ん中くらいにもってきた感じでしょうか。大体例年得点90点以上、つまり6割は取れといわれているようです。

 今年度から社会福祉士養成のカリキュラム、つまり課目編成が変わります。どうもこんな感じ?http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/shakai-kaigo-yousei.htmlより。

① 「人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法」
② 「総合的かつ包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術」
③ 「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」
④ 「サービスに関する知識」
⑤ 「実習・演習」

これが大きな枠でその5つの分類の中に全部で19科目入っている。私は13科目でしたから、大変ですが、分類の仕方自体が大きく変わった。だから一科目ずつはコンパクトになるのかな?
たくさんありすぎてちょっとかいつまんだ程度になりますが、すいません。ちゃんとした情報はきちんと教育機関などで聞いてください。
私なりに整理すると①人間の心や体(疾病をふくむ)、社会性の理解と福祉における総合的包括的支援の学び②福祉制度の行財政構造、及び経営③人権擁護のための法律的、社会的な仕組みの理解(だから自立支援法や、介護保険も入るのですね)となります。つまり①はたぶんICFの分類とおおまかには対応している。②は私もそういう勉強の仕方でしたが福祉といえばお金、財源の形ですね。そこの理解③は福祉の法学みたいな感じかな。これ自体は妥当なわけ方です。うまくつくれているかは別です。

このサイトが参考になるかもしれません。
http://allabout.co.jp/career/careerwelfare/closeup/CU20080327A/

19科目は以下のようです。
■人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法【180h】
 ・人体の構造と機能及び疾病(30h/90h/なし)
 ・心理学理論と心理的支援(30h/90h/なし)
 ・社会理論と社会システム(30h/90h/なし)
 ・現代社会と福祉(60h/180h/180h)
 ・社会調査の基礎(30h/90h/なし)

■総合的渇包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術【180h】
 ・相談援助の基盤と専門職(60h/180h/なし)
 ・相談援助の理論と方法(120h/360h/360h)

■地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術【120h】
 ・地域福祉の理論と方法(60h/180h/180h)
 ・福祉行財政と福祉計画(30h/90h/なし)
 ・福祉サービスの組織と経営(30h/90h/なし)

■サービスに関する知識【300時間】
 ・社会保障(60h/180h/なし)
 ・高齢者に対する支援と介護保険制度(60h/180h/なし)
 ・障害者に対する支援と障害者自立支援制度(30h/90h/なし)
 ・児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(30h/90h/なし)
 ・低所得者に対する支援と生活保護制度(30h/90h/なし)
 ・保健医療サービス(30h/90h/なし)
 ・就労支援サービス(15h/45h/なし)
 ・権利擁護と成年後見制度(30h/90h/なし)
 ・更生保護制度(15h/45h/なし)

■実習・演習【420時間】
 ・相談援助演習(150h/一般・短期とも面接授業45h・印刷教材405h)
 ・相談援助実習指導(90h/一般・短期とも面接授業27h・印刷教材243h)
 ・相談援助実習(いずれも180h)

なるほど私も通信教育で社会福祉士受験資格を取りましたが、援助は、小さな教室でゼミ形式で学びました。具体的な援助の方法、考え方を学ぶわけですから、グループワークで具体例について話し合ったり、先生に気軽に質問できるのが大事。通信教育は対面の授業は大講義とゼミに分かれますが年一回なんですね。ふだんは家でレポート書くわけですから、先生に会えるのは年一回のスクーリングのみ。だから貴重な時間なのです。ここはどれくらいの比重になるのでしょう。上のサイトは対面のゼミが減るといっていますが。

それと実習が私のときは120時間ということでした。1日9時間くらいの実習を二週間やるとできました。これは180時間に増大するようです。う〜ん。ってことはまるまる一週間増えますね。これはじっくり実習できますが、仕事しながらの人はその間休みをとるのが大変かも。実習の実施施設も、送り出す学校も調整が大変そうです。

ただ上にリンクしたサイトもそうですし私も書きましたが、権利擁護や法的な側面は大切です。あと福祉の行財政システムの理解も。そこが一応個別の課目になったのはよかった。前はバラバラだったんです。厚労省の思惑もそうだし、時代も、その人の中の様々な多層的な困難を見るために障害に関わらず、困っている人、悩んでいる人を障害(例えば老人という枠だけでみない)に還元されない個としてみる視点に向っている気がします。ICF国際生活機能分類)や、ユニバーサルデザイン(ISO規格みたいな)や障害者権利条約の流れに乗っているのかなと。

しかし現場レベルでどういうふうに変わりうるかはわかんないです。政府レベル・自治体レベルで、正直な話、財源の確保やなんかがかなり難しくなっているだろうと思うから。でも、勉強で、より開かれた考え方が学べるならいいなと思う。これは行政もそうですが、様々、先生方もどう対応されるか。しかし少子高齢化や経済不況で、行政も大学等の教育機関もかなり厳しい状況かもしれません。