細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

友松圓諦訳『法句経』より

三五

こころは保ちがたく
かるくたちさわぎ
意(おもい)のままに
従いゆくなり
このこころを
ととのうるは善し
かくととのえられし心は
たのしみをぞもたらす


三六

こころはまこと見がたく
まこと細微(こまやか)にして
思いのままにおもむくなり
心あるひとは
このこころを護るべし
よくまもられしこころは
たのしみをぞもたらす


三七

こころは遠く去りゆき
またひとりうごく
密室(むね)にかくれて
形(すがた)なし
かかる心を
制(ととの)うる人々は
誘惑者(まよわし)の
縛(きずな)を逃れん


二五二

他(ひと)の過失(あやまち)は見やすく
おのれのとがは見がたし
他のあやまちをただすこと
糠を簸るがごとく
おのれのとがは
詐(いつわ)りふかき賭者(かけし)の
不利の骰子(さい)を
かくすごとく
自らおおいかくすなり


二五四

虚空(そら)には
道とすべきものなく
うつろなる外道に
沙門(みちのひと)あるなし
おろかなる世人は
戯論(けろん)をたのしめど
如来(ほとけ)にはかかる
戯論(たわむれ)あることなし






以上、友松圓諦訳『法句経』より引用。法句経は梵語でダンマパダ。おしゃかさまの語った言葉が語り伝えられて、残ったもの。仏陀語録。

なんか弟子はメモったりしたらあかんかったので、語り伝えていたが、それがいつのまにかあちこちでまとめられたそうな。

新年から辛気臭いようだけど、『法句経』を買った本屋は今月四日で潰れる。好きな本屋だった。いつかおまけをくれたこともあった。思えばあのとき店員さんは潰れることを知ってたのかもしれない。


あと引用した言葉は説教くさくみえるだろうけど、今月に試験のある自分にはあとは自分の体調と気持ち次第と感じているからすごく浸みてきました。訳がすごくいいんです。漢字や熟語の開きかたが。

最後に訳した和尚は深川の安民窟で前書きを書いてます。昭和十年六月といいますから、1935年不況から脱した後日本が戦争を本格化した頃かなと。そういう風にはしたくないですね。
今年もよろしくお願いします。