サミュエルソン先生のおはなし
10月25日の朝日新聞朝刊3面に経済学者ポール・サミュエルソンのインタビューが載っていた。
サミュエルソンの名前は聞いたことある。なんでかというとかつて大学にいたとき友達がサミュエルソンが書いたでっかい本を持ってたからだ。僕は経済学のことは何もわかっていないのだが、友達がその本をもっていたことは覚えている。
サミュエルソンが記事で話していることは、現今の経済危機に対する分析と打開策である。タイトルは「規制緩和と金融工学が元凶」である。
以下その内容を石川の言葉で簡単に要約する。引用は括弧でしめした。
- クリントンからブッシュに政権が移ったとき、アメリカの経済と財政は悪くなかった=つまりブッシュ政権がアメリカ経済を壊したといわんばかりである。
- アメリカ経済が現在壊れている原因
?大金持ちだけを優遇する「思いやり保守主義」
?証券取引委員会のチェック機能をゆるくしすぎて市場を政府がコントロールできなくなった。
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野放し状態にそしてバブル…
?住宅バブルでの元凶となった<「レバレッジ(少ない元手で大きな取引をすること」のやりすぎが横行。
↓
おまけに
?グリーンスパンが株式のバブルになんらの手も打たなかった。
↓
つまり
??〜?の背景にある理論が極右サプライサイド金融工学である。これはレーガン政権からつづいている。自由化というと聞こえはいいが経済が適切にコントロールされず、それどころか煽られ野放しにされた。その結果バブルを引き起こし崩壊したと。
つまりサミュエルソンはブッシュ政権、それから新自由主義を全否定しているようだ。
それでは対策は…
- 現在は1929の大恐慌に匹敵する危機。大恐慌当時失業者があふれた。これを解決したのは「赤字をいとわない財政支出」つまり政府のお金=税金をぶちこんでいくということ。現在もこれを思い切ってやるしかないという。
サミュエルソンは闇雲にお金をぶち込むわけではないと断っている。
- 「国のお金を何に使うかはその国民が選ぶべきことだ。しかし無駄な事業ではなく善い目的に使うのが賢明な国民の選択であることはいうまでもない。」と述べる。
- ちなみに大恐慌時ルーズベルトは思い切った公共事業や農業支援計画に政府のお金を投入した。結果失業率が下がって、難局を乗り切ったと。
サミュエルソンは対比としてヒトラーが莫大な公費を使って戦争を行ったことやルーズベルトの前に大統領だったフーバーが何ら大恐慌に手を打てなかったことを挙げる。つまり、税金の投入は国民を苦しめるためでなく国民経済の健全化にそそがれるべきであること。そして、その時期をフーバーのように手を拒まず大胆に行うことを提言する。
- また不況からの根本的な脱出は非常に時間がかかり、歴史的な転換点であるため、政権交代は避けえないことを述べている。
- 最後にこう述べる。ドルからの逃避が非常に心配だ。そしてアメリカから外国資本が撤退することになる。つまりみながアメリカはもうダメだと「無秩序に」逃げてしまい、ドルがヘッジファンドに売られ、アメリカの経済だけでなく国の存続が危うくなる。しかし「もっとも今は家が火事になっているような時だから、そんな先の心配をあまりすべきではないのだが」と述べる。
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石川の言葉で述べているため趣旨の大づかみの要約である。
読んでわかるように、サミュエルソンはおそらく政府による介入を支持する立場だ。これには異論もあるだろうが、手をこまねいているとすべてが燃えてしまうため一刻も早く鎮火する必要があるというかそれしかないといっているようだ。日本政府の介入のおそさを見るにつけ納得できる。しかしそれほど公的資金注入の内容を具体的に語っているわけではない。しかし私のような経済学の素人にもかえってわかりやすい。95歳のサミュエルソン先生もこれほどひどいことに怒りと絶望を持っているのではないか。最後の言葉はそのように思える。しかしことはアメリカ一国に止まらない点が更に厄介である。